窪 美澄『さよなら、ニルヴァーナ』

さよなら、ニルヴァーナ

さよなら、ニルヴァーナ

神戸の事件をモチーフにしたのであろう「少年A」を巡り、Aに娘を殺された母親、Aに恋する少女、Aに恋した小説家という三人の女の心情を描いた作品です。
少女と母親はその出会いと交流、お互いの素性を明かしてからの展開、そして美しき「少年A」と、ここいらへんはまさにフィクションというか、『作り話』に感じていたのですが、物語の構図がわかるとなるほどねーと、小説家の視点だけいやに生々しいのはそういうことかと腑に落ちた。母親と妹と姪との関係、本筋であり本命はここかと。
それにしても、私のセレクト(そういうものを手に取ってしまうターンに入ってる)に理由があるのかもしれませんが、最近立て続けに闇やら業やらを抱える女性作家を描いた作品を読んでる気がする。なんだろうなーこれ。