道尾 秀介『透明カメレオン』

透明カメレオン

透明カメレオン

ヒロインは全然いいと思わないけど主人公以下バーのママ&常連さんたちはとても魅力的なのに、話がなぁ・・・。ちょっとした嘘と見栄から始まった物語というか、嘘と勘違いで出来てる物語というか、それはいいとしても余計なもんがいっぱいくっついてて、多分そこを、その軽妙なやりとりなんかを読ませたいのだと思うのだけど、私には合わない。
・・・と思いながら読み進めていたんですが、その合わなさ、合わないと思った感覚、それこそがこの作品に仕掛けられたもの、肝だったとは。
確かにちょいちょい不自然というか、引っ掛かる箇所はあるんですよね。頭の片隅でなんとなく感じていた「アレ?」の積み重ねが最後の最後で「そういうことか!」と。
なぜそういう人物たちがこの店に集っているのか?というそもそもの発端はまぁ・・・引き寄せられたってなことで納得するとして、文中で言及されはするもののなぜこの物語にこのタイトルが付けられているのか、それを理解した瞬間ほんのちょっとこみ上げるものがありました。
で。誰もが思わず持ち主を確認してしまうほど素敵な声でありながら容姿が残念だという主人公。色白で貧相な体つきで声と顔が一致してないとくればバリトンボイスかなーと想像するも、『平均よりはトーンが郄く少しハスキーがかっていて』ってどんな声よ!?。平均よりトーンが高いってだけなら即座に櫻井孝宏さん、少しハスキーってだけなら藤原竜也さんのお声が浮かぶんだけど、両方兼ね備える思わず顔面確認してしまうほどの美声となるとこれはもう想像の範囲外。