白井 智之『人間の顔は食べづらい』

人間の顔は食べづらい

人間の顔は食べづらい

すごいタイトルだなーって気にはなったもののその時は手に取るまではいかなくて、でも昨年のミステリランキング予想でチラホラ挙げられていたので(結局ランクインはしませんでしたが)そういえば気になってたんだった!と思い出し、今度はしっかり手に取りました。・・・という経緯を思うと、ミステリランキングって結構影響力あるんだよなーと実感する次第。
致死ウイルスによって食用肉が汚染される中唯一人体にのみ抗ウイルス剤が効くことが解り食用クローンが合法化されるも高価で、人肉を食することが出来るのは金持ちのみ・・・という設定(世界観)ありき、それのみの作品なんじゃないかなーと、言い方悪いけど舐めた感じで読み始めたんですが、意外や意外、中身はまっとうで驚きました。設定こそ突飛なものの、その突飛な設定に逃げないというか、読ませるべきは設定ではなく推理であり、その推理も特殊な世界観からなる伏線すべて回収して後味すっきり(いや内容的には全然スッキリじゃないんだけど)で、でもここまでまっとうだとせっかくの設定なんだからもうちょっと飛ばしてもよかったような気がしてくるから不思議(笑)。