『ヒストリーボーイズ』@世田谷パブリックシアター

初主演の倫也くんが先生役でほかは生徒役(浅野さんたち大人キャストを除く)ってぐらいしか事前知識ないまっさらの状態で千秋楽一本勝負を挑みましたが(当初は数回観られる予定だったんだけど家庭の事情が重なりそんな羽目に・・・)、そのたった一回がだいっっっっっっっすきな某バンドメンバーが全員揃って前列に座るという予想外の状況だったもんで気が気じゃなくってなんかよくわかんなかったです・・・。舞台上に集中したいんだけどどうにもこうにも気になって・・・。所謂有名人が近くの席にいるという経験は少なからずしてるけど、もう本人がツイッターで行ってきましたって言ってるから書いちゃっていいかな?バンプがいるなんてさすがに焦るじゃん!。つーか藤くんとちゃまがエスカレーターの下で待ち合わせしてんだぜ!?その姿が目に入った瞬間「ほっそい兄ちゃんがいるなー」って思って、そんでエスカレーター乗るためにその前を通ったときにチラっとみたらどう見ても藤くんで!びっくりしすぎて藤くんの目の前で足グキッってなったっつーの!!!(そしてそんなわたしを無表情で見た藤くん・・・・・・)。

そんなわけで到底理解できたとは言い難いんだけど、でも面白かった。ていうかオールバック&眼鏡倫也くんに制服姿のあっちゃん以下生徒たちってだけでウハウハでしたw。


舞台となる学校はパブリックスクールなのかと思ってたんだけど、去年はオックスフォードとケンブリッジに入学できた生徒はいないってな話を校長と女性教師がしていたのでその下の学校になるのかな?パブリックスクールらしい素敵な制服姿を楽しみにしてたんでシャツの裾をズボンから出したりとそこいらの高校生のようにだらしなく着崩すとーりや渋谷くんには超ガッカリだったけどw、とにかく教室で浅野さん演じるヘクターと倫也くん演じるアーウィンという二人の教師と生徒たちとの“授業”がほとんどで、それ以外のシーンもアーウィンの現在という時間軸を除き全て“学校内”での話。

客席に向かって冂←こういう形の灰色の壁があり、人数分の黒い椅子と、それから下手端にこれまた黒いアップライトピアノがあるだけのモノトーンでシンプルなセットなんだけど、壁から70センチぐらいの隙間を開けて床に大きな白紙が敷かれてて、この白紙の中が“室内”で、隙間を廊下に見立ててて、これがなかなか面白いなーと思ったら、その紙を劇中で生徒たちが勢いよくべりべり破り始めたもんでビックリしたわ。何度も紙を破りノート(レポート用紙)として教師に提出するからどんどんと白い部分がなくなっていくので(その下にある黒い床が見えてくる)これがのちのち何らかの演出に使われるんだろうなーと思いながら観てたんだけど、最終的に全くの予想外、バイク事故を起こして死んだヘクターの遺体に捧げる花束と、そしてそのヘクターの遺体そのものとして使われるという思いもよらよらぬ使われ方だったんで、驚きながら感心したわー。
この白い紙ってのは生徒たちそのものなのかなぁ。
最初は真っ白で穢れがないんだけど、オックスフォードに入るという目標のため“受験勉強”をする中で、ライバルたちとは違う考え方をすることを、オリジナリティのある視点を持つことを求められ導かれていく中で、少しずつ純真さが削られていき何かに染まっていく彼らを表現しているのかなーと。

とか思いながら観ていたら、最後に「死」を表現する手段となった。
受験のための知識を教えてくれるアーウィンに対し、ヘクターは人として生きていくために必要な・・・わけではないけどあったら人生が豊かになるであろう教養を教えてくれた。
そんなヘクターの死を経験した生徒たちは、やがて大学を卒業し社会に出て大人になったわけだけど、その中の一人は軍隊に入り28歳の若さで戦士するんだよね。オックスフォードという一流の大学に入ったのに、28歳で死んでしまうの。それからヘクターの教えを一語一句残さず記憶しているというユダヤ人の生徒はその後ジャーナリストとして有名になったアーウィンの“過去”を売って生きている。
人間誰だって死ぬ。生まれて死ぬ。人生のほんの一時同じ目標に向かい同じ時間を過ごし、その後はそれぞれ異なる職業につきそして最後はみんな死ぬ。ヘクターのように。白い紙のように。それがひとりひとりの『ヒストリー』。
タイトルの「ヒストリーボーイズ」ってのはクソ喰らえな歴史を学ぶ少年たちという意味であり、『人生』という意味でもあるのかなーと、バンプに気を取られつつもそんなことを考えた。


なんつってちょっと真面目な感想を書いてみたけど、記憶に残るのはやはりとーりを中心とするボーイズのラブですよ!!。

とーり演じるデイキンは(そうは見えなかったけどw)クラスで一番頭が良い、そしてそのクラスはオックスフォード&ケンブリッジを目指すクラスなのでつまり学校で一番優秀な頭脳を持つ生徒なんですよね。さらに恐らく見栄えもいい(という設定)のではないかなと。

そんなデイキンは、まず浅野さん演じるヘクター先生の「お気に入り」なのね。タイトなシルエットのスーツに身を包んだヘクター先生はバイク通勤してるんだけど(通勤時はこれまたタイトな革ジャン着用)、毎日生徒を一人選んでタンデムシートに乗せるらしいのです。当然そこには好みが反映されるので一度も選ばれない(誘われない)生徒がいる一方でデイキンはよく選ばれるから「お気に入り」なのであろうと判断できる。でも生徒たちは選ばれることをそんなに喜んでないというか、なんかニヤニヤしてんだよね。選ばれた生徒を「がんばれよー!」って見送ったりすんの。この妙な空気の理由は?というと・・・

『ヘクター先生は高速でバイクを飛ばしながら後部座席の生徒の股間を触りまくる』

ってマジかよとwww。多分これ、高速のバイク上で触るってところが肝なんだと思うのよね。そのシチュエーションでなければ興奮しない的な。ヘクター先生とんだド変態野郎じゃねーのw(ちなみにヘクター先生は妻帯者です)。

ってことはデイキンがヘクターの「お気に入り」ってことはつまりそういうことだよね?とw、そういう意味での「お気に入り」なんだよね?とw。え?なにこの話??w。

続いては太賀くん演じるポズナー。このポズナーはヘクター先生に一度も選ばれたことがなくて、だからまぁ・・・性的魅力はないというか、そういう感じなんだと思うのよ。でもヘクターと最も多く言葉を交わした生徒なんじゃないかなぁ?前述のヘクターの教えを余さず記憶してるユダヤ人の生徒ってのはこのポズナーのことなんだけど、「ヘクター先生のお気に入り」であるデイキンへの憧れが昂じたのかどうかは分りませんが、ポズナーはデイキンのことが大好きなのね。この時期特有の一時的な感情だろうと言われ「そうだと思う」と答えつつも「デイキンが好きだ」と明言し、クラスメイトもその気持ちを“知ってる”の。ポズナー→デイキンは公認なのです。

で、デイキンはポズナーのことをいっつも見てるのね。だから気づいてしまうのです。アーウィンもまたデイキンのことを見ていることに。
デイキンを見つめる者同士、目があったりしちゃうんだろうねぇ・・・。アーウィンがデイキンに抱いている想いにポズナーは気づいてしまうのです。

でもポズナーやヘクターと違ってアーウィンはその気持ちを表には出しません。授業中はいつも冷静かつシニカルな目線で生徒たちを挑発しありきたりな概念を打ち砕くアーウィンに、クラスで最も優秀な頭脳を持つデイキンは惹かれます。当然デイキンに夢中なポズナーはそのことに気付くよね。ヘクターだってアーウィンに嫉妬する。

それを常に一歩引いたところから俯瞰してみているのがあっちゃん演じるスクリップス。性に奔放で好奇心旺盛なデイキンに対しピアノが上手で穏やかで理性的なスクリップスと対照的だけど、スクリップスはデイキンの隣の席に座ってることが多いし、登下校も共にしていることが多いので所謂「親友」なのでしょう。デイキンはスクリップスにだけ「俺アーウィンのこと好きかも」と打ち明ける。

とまぁこんな関係性なんだけど、そのものズバリなボーイズのラブではないものの結構際どい台詞が多くてですね、そしてそれを発するのがほぼほぼとーりでですね(とーりはズボン脱いで白ブリ姿にもなりますよ!!)、まさかそんな作品だなんて思ってなかったから心の準備が追い付かなくてしばらくの間は大変でした。ニヤニヤを堪えるのがw。

あっちゃんスクリップスは敬虔なクリスチャンなのね。だから・・・というわけでもないのでしょうが、神への愛を抱えるだけで精いっぱいだからセックスはしないと言い張る“堅物”で、そんなあっちゃんスクリップスにとーりデイキンが校長の秘書フィオナ(女性)とのセックス話を聞かせたり嫌がってるのにヌードグラビア押し付けたり(見せつけたり)するわけですよ。しかもそういう時大抵あっちゃんはピアノの椅子(二人で座れる背もたれがない横長タイプのやつ)に座ってんのよ。な?ニヤニヤするだろ?。

それからとーりと倫也くんの絡みですよ絡み!ここはもう堂々と「絡み」と言っちゃうけど、この二人身長差が結構あんのよね。制服姿のとーりがシャツ+ネクタイ+チノパンに、時にはニットベスト時にはジャケットを着用したオールバック眼鏡の倫也くんをぐいぐい攻めるわけですよ。これまたピアノの椅子に座る倫也くんに覆いかぶさるようにしながら「授業中はあんなに堂々としてるのに授業以外ではなんでそんなにおどおどしてるの?」とかさー!「眼鏡外してみてよ?」って眼鏡に手を掛けようとするとーりに「やめてっ!」って必死で拒否る倫也くんとかさー!!
挙句「どうしたら先生はフェラしてくれるのかなぁ?」とか言っちゃいますからね!!!どうすんのこれ。

ていうかそこからの展開が凄まじくてですね、デイキンはオックスフォードの入学試験の時に純粋な興味からアーウィンの在籍記録(卒業アルバム的なもの?)を調べるんだけど、そこにオックスフォード卒であるはずのアーウィンの記録はなかったのね。つまりアーウィン学歴詐称してたの。で、それをネタにデートの約束を取り付けるんだけど、それと同時にいくつもの要素が重なってしまった結果“校長の妻に目撃される”という最悪の形でヘクターがバイク上で生徒の股間モミモミしてることが学校バレし学校を追われることになるのです。そこでデイキンは校長が秘書にセクハラしてることをバラすぞと、バラされたくなかったらヘクターの処分を取り消せと持ちかけ、見事処分撤回を勝ち取ります。大喜びする生徒たち&ヘクター。そんでヘクターは性懲りもなくまた生徒をバイクに乗せようとするんだけど、そこでデイキンは「今日はアーウィンが乗れよ」と提案するのです。その提案を受けるアーウィン。生徒たちに見送られ走り去った二人でしたが、そのあと事故ってヘクターは死にアーウィンは車椅子人生となりました・・・。

ね?すごいでしょ?。しかもこれ、「ヘクターがアーウィンに手を出すはずがない」「いつも(生徒の股間を触ってたから)片手運転してたのに両手だったからスピード出し過ぎちゃったのかもしれないね」って、やだそんな死因・・・って話だろw。前述の通り「ヘクターの死」が物語に必要なのはわかるけど、なんでこんなあらゆる意味でハードな展開なのよと。いや好みだけど(笑)。


初主演の倫也くんを筆頭に、キャストはみんな青くて甘くてとんがってて素敵でした。灰色の壁は学校、ひいては学歴社会(受験教育)という檻の表現でもあったと思うのですが、その檻の中で檻の中にいることを理解しつつ精一杯大人ぶろうとしてる頭でっかちな若者たちの閉塞感と抑圧感、それぞれの立場それぞれのやり方それぞれの価値観でもってそんな若者たちを導こうとする教師の情熱、そこにスパイスを加えるエロ要素。それらが何度も何度も波のように押し寄せるのでじわじわと消耗させられ終わった瞬間精神的にぐったり・・・でしたが、面白かった。若い俳優たちを“カッコよく”見せようという色気がなくて、でも輝きを見せようというエゴはバリバリで、これをイケメンわらわら舞台と言うのはちょっと違うと思うけど、こういうイケメンわらわら舞台をもっと見たい。



トリプルカテコの最後の最後、はける寸前に倫也くんが眼鏡をスチャッと外して客席ピギャーーーーーーーーーーーーーー!!でしたが(とーりが外せって煽ったっぽかった)、でもその外した顔をとーりに向けてて、多分それわざとってか劇中で眼鏡外してみなよって言われ続けたことに対しての眼鏡外しということだったのでしょうが、とーりにしか見せないとか倫也くんの釣りスキル高すぎ・・・・・・っ!!!。