わたしはこの作品・・・というか、前2作(の舞台)がほんとうに好きで、どんな形でもいいからぜひ続編をとずっと待ち望んでいました。
そして待ちに待った新作の上演が決まったと聞きそれはそれは嬉しかったものの、わたしが望んだ姿ではありませんでした。
「どんな形でもいいから」と言いながら「わたしが望んだ姿ではない」とは矛盾してますよね。
矛盾の理由は明らかで、わたしにとっては前2作の三蔵一行こそが三蔵一行であり、わたしが待ち望んだのは彼ら4人の「続編」。でも今回は悟浄と八戒をキャスト変更しての続編でした。
5年という時間は決して短くない。その時間で各キャストはいろんな意味で変化し成長してるわけで、それを考えればキャスト総変更でも仕方がないとは思う。そう思えば三蔵と悟空だけでも継続してくれて良かったんだとは思う。
でもね、やっぱり複雑。丸山くんの悟浄と載寧の八戒が好きすぎたから、麗羅の三蔵と鯛造くんの悟空の隣にいるのが紫炎さんと載寧じゃないのが単純に嫌だった。
それに、圧倒的歌唱力でもって前2作を引っ張った小野田くん紅孩児もいないし、独角も観世音様も二郎神もいない。麗羅や鯛造くんがブログに書いた最遊記の新作をやれる喜びを読みながら、二人の心からの喜びと感謝と意気込みを語る言葉を読みながら、良かったね嬉しいねと思うんだけどでも!!と、新作は嬉しいけどでもそれは前2作とは確実に違うよね・・・と、そんな気持ちを抱えつつチケットを取りました。
・・・・・・・・・桃源郷シート(1万円)を。
え?なにこの人??ですよねw。いやわたし普通の席取ったつもりだったんだけど、発券したら\10,000とか書いてあってその場で5秒ぐらい固まりましたw。
なんだかんだ言っても麗羅の三蔵と鯛造くんの悟空をより近くで見たかったらしいです・・・w。
で、カミサマ編。事前にネタバレを避けつつ感想を漁ったらこれがもう結構な好評っぷりで、もう絶賛と言ってもいいぐらいの感じだもんで、アレ?もしかしてわたしの知ってる最遊記歌劇伝とは全くの別物なのではないか・・・?という不安・・・って言ったらヘンだけどw、制作変わったことだし全然違う、文字通り『新作』なんじゃないかってな気持ちで席に付いたんだけど、カミサマ登場の後、三蔵一行が出てきた瞬間新作発表の時からあったモヤっとしたものが一気に晴れた。霧散した。
はああああああああああっ三蔵さまああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
悟空かわいいかわいいかわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!
三蔵と悟空は全く変わってなくって、わたしの大好きな三蔵と悟空が目の前にいて、それだけで満足してしまった。満足どころか感極まってしまった。
だって5年だよ!?。23歳だったのが27歳になってて、23歳だったのが28歳になってんのよ!??。こう言っちゃなんだけど二人ともアラサーに片足突っ込んでんのよ!??。それなのに全く変わってないって純粋にすごすぎんだろ。麗羅三蔵の原作まんまの美人っぷりも鯛造くん悟空の呆れるほどの身軽さもどちらも健在で、つーか麗羅三蔵まじ美しすぎて、こういうのって脳内で美化されるものだけど美化されているはずの脳内三蔵よりもはるかに美しくて、これが泣かずにいられるかっての!!。
そしてそして相変わらず禍々しくも飄々とした唐橋さんの你健一。この一瞬で会場の空気を変えてしまう唐橋さんの你を再び見られる喜びと言ったら(つーか今回はついに烏哭姿もガッツリ拝めてピギャー!)。
麗羅の三蔵がいて、鯛造くんの悟空がいて、唐橋さんの你がいる。三人が揃って最遊記やってる。その事実だけで満足です。満足だよー!。
変わらないと書きましたが、変わったことも勿論あってですね、三蔵一行歌上手くなってやんの!!!。Go to the Westで衝撃の歌唱力を披露したかと思ったら続くDead or Aliveでは主役でありながらそのテーマ曲をワンフレーズしか歌わないという暴挙(笑)に出た三蔵一行でしたが、今回はしっかり歌う&ソロパートありでして、しかもサビなんてハモってたわよ!?。かつてはハモってるのかと思ったら音が半音ズレ続けてただけだった三蔵一行の歌がっ!5年の成果がここに・・・っ!!
・・・と言いたいところではありますが、悟浄と八戒キャスト変更の賜物ですよね(笑)わかってる(笑)。
新しいテーマ曲になるのかなぁ?今回のテーマ曲はロック調で最遊記の世界観に合っててこれはこれで悪くないし、前2作のアンケに曲調が最遊記っぽくないと書いたぐらいなのでむしろ評価すべき改変なんだけど、でもこれまでの曲に思い入れありまくりだからここは変えないで欲しかったなーという気はする。初演厨ってこういうところ嫌よねw。
まぁ同じ曲を歌ったら何が悪かったのか明らかになってしまうので違う曲で良かったとも思うんだけど(いや原因は明らかなんですがw)。
この流れで悟浄と八戒のキャストについて触れておこう。
どこか神経質っぽいというか性格の悪さが滲み出る(笑)載寧の八戒に対し(わたしはそこが好きなんだけどw)、フッキーの八戒は雰囲気が柔らかく穏やかで、そしてソフトな声音がアニメで八戒を演じたあー様にかなり近くて“カミサマ編の八戒”としては純粋にフッキー八戒の方が合ってるかなー。カミサマ編八戒のモエ台詞NO.1である「現役保父さんをあなどらないで下さいね?」とかまじまじ理想通り!!だったし。だから八戒に関しては思ってた程違和感も抵抗感もなく見ることができた。
でも悟浄はねぇ・・・・・・。三蔵一行が出てきた瞬間モヤモヤは消えたと前述しましたが、モヤモヤとは違うんだけどやっぱ丸山くんの悟浄がそのものすぎて、太陽の悟浄に不満があるというよりも丸山くんの悟浄がいかに神だったかを改めて思い知らされたなと。
見た目は悪くないんだよね。ちょっと線は細いしフッキー八戒が三蔵よりも背が低いぐらいなんで4人並んだシルエットはあんまりよくなかったんだけど(その点前キャストは完璧だった)、悟浄単品で見ればそんなに悪くなかったの。
でも色気ねーの。劇中で三蔵たちと旅するようになって女に全然モテなくなったという発言があるぐらいだし、カミサマ編は悟浄の母親を除けば女っ気皆無だから色気出す必要はないっちゃないんだけど、でも悟浄の色気は対女よりもむしろ対男でこそ滲み出てしまうわけで。そして丸山くんの悟浄にはそれがあった。ただタバコ吸ってるだけでも、ただ椅子に座ってるだけでも色気ダダ漏れだった。比べることは無意味だけれど、どうしてもねー。
でも麻雀の後再び立ち上がるシーンで悟浄だけ黒シャツ脱いで白タンクに生着替えするのね。客席に背を向けてシャツを脱ぐ、つまり背中丸見えになるんだけど、太陽の背中がちゃんと大人のソレになってて、太陽立派になったなぁ・・・としみじみしてしまいましたw。
つーかこのシーンなぁ・・・裸包帯じゃなかったんだよなぁ・・・・・・。
三蔵一行初の敗北エピソードだけあって見所多いカミサマ編だけど、休憩ナシの2時間一気に駆け抜ける作りだったんでカットされたシーンもいっぱいあるぐらいだからここで衣装を着替えるという選択肢は端からなかったであろうことは想像できますが、でも『ベッドで悶える裸包帯の三蔵』が見たかったんだよおおおおおおおおおお!。
てかここの三蔵がすごかったんだよね。素晴らしい悶え苦しみっぷりで、だからこそ裸包帯だったなら・・・と思ってしまう。
それからこれも尺の都合なのかなぁ・・・これだったらきっと鬼気迫るゾンビ三蔵を演れただろうに床をズズズと這わせることなくさっさと悟浄が拾ってベッドに放り投げてて(この放り投げっぷりってか投げられっぷりは超よかった!)。で、そこまでゾンビじゃなかったからかもだけど三蔵のベッドに力なく凭れた悟浄の「・・・あ――も―――」が納得いかなかったんだよな。ここは叫ぶんじゃなく途方に暮れる感じで、そんで両目を拳でおさえて「頼むよ・・・」って力なく言ってほしかった。この時の悟浄は敗北の事実よりも三蔵の姿に打ちのめされていて、なんだかんだでいつも自分たちに光を示してくれてた三蔵に「頼むよ」って言ったんだとわたしは解釈してるのね。この絶望しかけてる悟浄の姿ってのが三蔵一行初の敗北を象徴するシーンだと思うのに、流れの中に埋もれてしまった感じだったのが残念だった。
ここだけでなく、全体的に『間』がなかったかなーと。麻雀シーンとカミサマそっちのけで悟浄をドカバキゴスって蹴りまくるシーンという、4人が4人である理由、4人でなければならない理由、そこを見せる大事なシーンにはしっかり尺を取った分、まるごとカットされた場面のみならず三蔵にライターの火を差し出された悟浄の「さーんきゅ」が悟空と八戒の会話と並行して描いたために埋もれちゃってたり、ボコられた悟浄に「何すんだよイキナリ!!」って言われ
八戒「――さぁ?やっぱり空き缶を灰皿にした罰じゃないですか?」
悟浄「・・・・・・ワリ。」
ってここは「・・・・・」←この間が大事なのにノー間で「ワリ」になっちゃってたり、あと「もう済みましたから」と言う八戒を盾にして三蔵がカミサマに銃弾撃ちこんだってのも一件落着した後の何発か掠りましたけど^^って台詞がカットだったから意味が伝わりにくかったし、全体的に駆け足感が否めなかった。
ていうか結界破りは我慢するにしても瓢箪内でのカフス外して「ちょっと下がっててくださいね。近くにいたら殺しちゃうかもしれませんから」がないとか・・・・・・・・・。八戒が怒ってくれてちょっと嬉しいって言う悟空からの「怖えぇ」って怯える悟空と合わせてわたし的カミサマ編最大のトキメキシーンがここなのに・・・・・・・・・。
それなのにマヨラー三蔵は拾うんだよね(笑)。ラーメン談義もやって欲しかったけどカットされるのは仕方ないと思う。でも三蔵の「マヨネーズ」発言は拾う。それはいい。だが酒で拾うなよと(笑)。ラーメンにマヨネーズは百歩譲って好みとして認めるとしても酒に入れるのはさすがにねーよと(笑)。てか分離するだろと(笑)。つーか今までマヨ入りの酒飲んでる三蔵とか見たことないからね(笑)。
でも話自体は上手いことまとまってた。紅孩児も観世音様も出ないってこともあるだろうけど、三蔵一行よりも先にカミサマを登場させたことで金閣・銀閣の話もカミサマ編の起承転結で言うなれば起〜承として組み込まれてて、3作中でいちばん見やすかったし分りやすかった。チケット発売後に2列分追加席が発売されたと聞き、会場の構造上その影響がどこに出るか?っつったらステージサイズになるのは明らかなんで少しでも客を入れたい気持ちはわかるもののその判断はどうなのかなーと思ってたんだけど、階段状のセットにすることで狭いステージを縦(高さ)に使い、さらにそこに映像を映すことで大きなセットチェンジなく場面を切り替えてて3作中最も場面転換のストレスも少なかった。
そして今回のメイン、カミサマ役の平野くん。平野くんがすっごくよかった。キャラとしての存在感が三蔵や悟空、そして你に負けてないんだよね。強さといい外見と中身の落差といい、演じるのが難しいキャラの一人だと思うのだけど、底知れぬ無邪気さ(それが怖い)はしっかり「見えた」し、なにより声と台詞回しが浪川社長にそっくりで、特にアハハハハって心底楽しそうなんだけどでも空虚な笑い声とか記憶にある浪川社長のカミサマそのものでさー、三蔵との
「ねえ・・・俺に頂戴」
「やらねぇよ。」
「・・・ケチ。」
も、
崩れ落ちる城から助け出そうとしてくれた悟浄への
「・・・・・・優しーじゃん」
も、浪川社長のザラっとした質感まで再現してて、その質感こそがカミサマの孤独と空虚さを引きだしたと思っているわたしなのでこれはもう感動以外のなにものでもなかった。
おまけに平野くん歌もうまい!!。前2作は小野田先生という圧倒的歌唱力を持つ“切り札”がいたんで、とにかく紅孩児に歌わせときゃ恰好がついたんだけど、今回は平野くんが紅孩児不在の穴をしっかりと埋めてくれました。
平野くんのカミサマ。今作の勝因はココにあるとわたしは思います。
「・・・・・・ねえ、先生教えて。『神様』っているの」
バリーンと砕け散るステンドグラス
「いないんじゃないかな。」
舞台が暗くなる中
「・・・・・・よかった」
これほんっっっっとに良かった。これは最遊記歌劇伝におけるベストシーンの一つ。
あ、あと唐橋さんと充さんによるウサギもな(笑)。ここは原作を超えた(笑)。
この作品で無印原作を終えたことで気持ちとしては一つの区切りになるのかなぁ?。
でもまだまだ話の途中だし、チケット完売グッズも売れ売れのようだったので今作は興行的に成功と言っていいだろうし、西へ向かう三蔵一行の旅はこれからも続くと思ってていいんですよね??。