福田 栄一『探偵の流儀』

探偵の流儀

探偵の流儀

初めての作家さんです。
東京から3時間の地方都市で地元の重鎮から絶大な信頼を受ける探偵事務所所長が階段から落ち意識不明の重体となる・・・というのが物語の始まりで、所長に恩がある三人の部下が所長不在の探偵事務所を守るべくそれぞれのやり方で職務をまっとうしようと奮闘し、加えて東京で一流商社に勤務していた姪が仕事を辞め所長代理になることを決意するってな話なのですが、縦軸は所長が転落させられた背後にある陰謀の解明で、それはよくある話ではあるものの無理なくまとまってると思ったんだけど、横軸となる探偵所所員たちの話が単調すぎて面白くないんだよなぁ。ていうか、所長とは最も付き合いが長く探偵としての腕はいいものの一匹狼タイプの男(30代)、ついつい人情に絆されてしまう性格でそれが理由で警察を辞める羽目になり所長に拾われた男(20代)、そしてかつて所長に助けてもらったことがあり所長に憧れ東京の大学を卒業後見習いとして探偵事務所に入った男(20代)ってのが部下なんだけど、この三人の間で話を展開させてほしかった。一匹狼はサブヒロインとのロマンス、元警察官は自分を退職に追い込んだ因縁の相手との対決というネタがあるんだけど、「探偵事務所」の話なのにいきなり個別の話をされてもと。まぁ最終的には見習いも含め三人でアクションしたんでなんとなくまとまってはいるんだけど、なんとなくなんで盛り上がるわけでなし、最後まで単調だったなという印象。