中村 ふみ『魔女か天女か』

魔女か天女か (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

魔女か天女か (ゴールデン・エレファント賞シリーズ)

あーもうこれ最高すぎるんですけど!!!。
巻末のあとがきで

東北から京都を舞台に、少々かっ飛んだ娘たちに「運命上等!」とばかりに暴れてもらいました。

とあるんだけど、まさにこれ。この一文でこの結構な厚みのある小説を説明できちゃう。
主に活躍するのは赤髪の主人公・千寿、本命の姫の“添え物”として関白の側室になる晴姫、母親の愛情を求め偽切支丹となった火薬を作る隻眼の娘・お紋の三人なんだけど、加えて最上義光の娘・駒姫、そして物語の鍵を握る女・まどなと出てくる女性がみんな勇ましくて凛々しくてカッコいいのなんのって!。それぞれ結構な運命を背負わされているのですが、その運命を嘆くのではなく立場ゆえの生き方を自ら選ぶ強さがあるんですよね。そこがとにかくカッコいい。
そのせいで彼女達を取り巻く男たちはちょっとヘタレに思えるぐらいなのですが、でもそれがまた魅力的なんですよね。晴姫の側で姫をずっと護り続ける若侍・謙吾と千寿と千寿が持つこの世に一丁しかない銃の確保を目論む伊達の忍び・幻刃という二人の男がイケメン枠なのですが、直接二人の絡みはほとんどないものの謙吾は陽、幻刃は影ってな感じでそれぞれ非常に魅力的。ていうかこの幻刃についてわざわざ『美声』という説明があってですね!!それが私の妄想をぐいぐいと掻き立てるわけですよ!。
おまけにおっさんたちがこれがまたいい働きをするんだ。彼らの存在によって娘たちが思う存分暴れられるんですよね。この辺のバランスはほんと心地いい。
裏閻魔もアニメ化切望中ですが、豊臣秀吉・秀次といったお馴染みの人物が登場することもあるしこっちのほうが幅広い層に受けそうだからまずはこっちを先に!ぜひともアニメ化を望みますっ!!。