雫井 脩介『検察側の罪人』

検察側の罪人

検察側の罪人

巡りあわせだよなぁ・・・としか言えないわ。
もしこの検事がこの事件に関わる(担当する)ことがなかったら、もしその下につく部下がこの人じゃなかったら、確実にこういう結末にはなってない。
逆に、犯人に仕立て上げられた男の弁護士はこのことで一気に名を上げることになるんだろうけど、抽選で当てた案件がこんな事件でなかったら相変わらずボロ事務所のままなんだろうし、人生何がどうなるか分かんないよなぁと。
でも二人の検事だけでなく、登場人物たちはそれぞれみんな自分なりの「正義」を掲げ自分自身で判断し行動した結果なわけだからその当人はどうなろうが自業自得だけど、それによって人生狂わされる周りの人間はたまったもんじゃないよな。でも間違ってるとは言えない。いや、間違ってるけど止める術(言葉)はない・・・よな。だからタチ悪い。
さすがにこんなケースは“小説の中だけ”だろうけど、でも完全なる“作り話”ってわけでもないのだろう。実際にそういうことがあったし、今はもうそういうことはないだろうと思えるほど私は人間を信じていないし。