『独身貴族』第7話

ベッド×クサナギさんの相性の良さはパネエな。もうこれ最終回でいいんじゃないかなぁ?って結構本気で思ったんだけど。
趣味嗜好も考えてることも違う他人と一緒にいても楽しいと思える保証なんてないし、そんな相手と人生の貴重な時間を共有するなんて勿体ないと考えていた「独身貴族」が結婚を決意する流れとしてこれ以上ないってぐらい美しいプロポーズで、ほんともうこれ綺麗に完結したじゃんと。
でもそれはあくまでも守の側から見た話であって玲子さんにとっては必ずしもそうではない。涙を零した玲子さんが言いたいことってのは「普通のカップルとは違うけど穏やかな人生を一緒に歩いていきたい」ってことじゃないよね。玲子さんはそれこそ喧嘩したいわけであってさ、ぶつかり合って仲直りして、また意見が違ってでもお互い歩みよって、そういう“普通のカップル”になりたいのになんでそんな余生みたいな結婚生活を送らなきゃならないのってな話だよね。ていうかそれ以前に考え方が違うから知りたいし知って欲しいと思わせてくれて、基本的な価値観が同じ人とお互いが面白いと思えるものを探すために時間を共有することの楽しさを教えてくれた女は別にいるけどその女は弟のモノなのでだからその女と過ごした時間を大切な思い出にして貴女と結婚しますって何その自分勝手な言い草!?って話だろ。
だから玲子さんは守に結婚の話はなかったことにしてくださいとお願いするんだと思う。守に普通のカップルのようになりたいと求めることなく自ら守を捨てるんだと思う。守のプロポーズが本音、心からの言葉だと解るからこそ守にそれを言っても無駄だってことが玲子さんには分かってしまうんだろうから。
で、玲子さんとの結婚話がなくなったことでようやく純然たる守と進とゆきの三角関係になるのでしょうが、ここへきての進の映画人としてのダメっぷりのみならず男としてのダメっぷりがちょっと酷い。春野ゆきが仕事しやすい環境を作ってやれと言われて思いついたのが「おでん」って何それ。せめてゆきの故郷の味だとか好物はおでんってな話をしたことがあるとかならまだわかるけどゆきにしてみりゃ何の縁も所縁もないおでんを美味いんだって言われても、専務が自分を気遣ってくれてることを有難いとは思ってもそれと本打ちが出来ない(その相手にならない)ことは別の話だろうがと。それで専務と一緒に頑張ろうと思っちゃうとなると春野ゆきの脚本に対する情熱・プライドってそんなもんかよとしか思えない。
そしてそれは弟の能力が経営(営業)面はともかく脚本に対する理解力がこの程度だと解ってるだろうに私情を挟んで八月のボレロに関わることを拒み続けた社長もまた同様、だと思うんだよね。
どっちもどっちで頭沸いてんなーとしか思えないんだけど、でも一番ダメなのは進ですよ。
わざわざ外(夜の公園)に呼び出してのおでんも大概酷いけど(これまでの進のやり方だったらゆきちゃんが集中しやすいようにと部屋用意してやるぐらいしそうなもんなのに)、その前に脚本ちゃんと読めよと。兄貴のように的確なアドバイスはできないってんなら少しでもできるように何度でも読み込めよと。
ていうか芸術的センスがないことと理解力がないことは違うと思うんだよね。少なくともこれまで専務として映画作りというクリエイティブな仕事をしてきてる以上(川越を筆頭に部下がちゃんと慕ってくれてる以上)、ある程度のアドバイスは出来て然るべきだろう。その上でゆきの言う「もっといいものにできる」という感覚が判らなくて、その感覚を共有することができなくて、そこで煮詰まっちゃう・・・ってことならわかるけど(そこでの「おでん」ならまだわかるかも)、金魚を人間として扱ってたりラストシーンの解釈どころかシチュエーションをまるっと勘違いしてたり(これに関してはゆきの表現力の問題がある気がするけど)、春野ゆきの気持ちが守に向かうための前フリにしたって進の描き方が酷すぎるわー。
・・・でもソファで仕事しやすい環境を作ってやればいいんじゃないか?と兄貴にアドバイスもらう弟の図はよかったです。デッカイ背中を丸める弟の肩に手をやるのではなくソファの背もたれに手をかける兄貴がすこぶるよかった。
やっぱさー、二人で仲良く暮らすのがいちばんいいんじゃないかな?(笑)。