『キルラキル』第七話「憎みきれないろくでなし」

予告の感じからして完全ギャグ回かと思いきや最終的にウッカリ感動らしきものをしてしまっているわたしがいました。満艦飾家はまさに『憎みきれないろくでなし』だよ。
ギャグ回と思わせておきながらこれまでその圧倒的な独自理論と恐るべし打たれ強さによって学園のシステムからはちょっと外れたところにいると思しきマコという存在を使って本能字学園のシステムを明らかにするとか、しかもシステムを明らかにしたところで学園の膿を出すべく(そのシステムをぶっ壊すべく)壊散総戦挙へと繋げるとか、まったくもって気が抜けねーぜこのアニメ!!。
これまでも星の数がそのまま学園での地位のみならず生徒の家族共々の生活環境(生活レベル)まで影響を及ぼしているのが皐月様が頂点に立つ本能字学園であるという認識はありましたが、今回で星の取得方法とそれに伴う生活レベルが具体的に説明されました。
まず星の取得方法。この学園はとにかく『部活ありき』なんですね。はっきりと明言こそされませんでしたが、恐らくこの学園で部活動に無所属である生徒はいないんだと思う(テニス部を退部したマコが無所属なのは流子とツルんでるから)。まずは一つ星を得るために全員なにがしかの部活に入っているということなのだと思う。でなければこの学園の生徒でいる意味も理由もない。でもそこから先、部長=二つ星になれるのは部長というぐらいですからたった一人であろうわけで、つまり狭き門だと。だからもう一つの道筋として膨大な書類をしっかり揃えた上で皐月様(もしくは四天王)の承認を得ることで新しい部活の創設が認められていると。
その場合、まずは部として実績を作ると。テニス部やボクシング部といった“普通の部活”であれば対外試合という名目での他校攻略がその実績にあたるだろうけど投げナイフ部や綱渡り部といった部活はそうはいかないわけで(そんな部活がなぜ認められているのか?については「流子ちゃんのせい」というマコの一言で綺麗に納得)、じゃあどうやって実績を上げるのか?→学園内で他部活と争って勝てばいいと、そういうことなわけか。喧嘩部は部長のマコに部員の流子と二人だけの部活であり、流子は神衣持ちだってんで星を獲得したのはマコだけだったけど、おそらくレギュラークラスには一つ星が与えられるのではないだろうか(テニス部とか部員みんな一つ星だったよね?)。
そして更に実績をつみ皐月様に認められることで部長はようやく二つ星を与えられると。そして部長になったからといって安泰ではなく、毎日の早朝ミーティングや膨大な書類の処理と地道だけどキツイ仕事をやり続けなければならないと。そういう仕組みであることが解った。
で、それに伴いなぜか家族全員の生活レベル(居住環境のみならず収入面も)も上がっていくと。肝心の「なぜ」って部分は鬼龍院家の私有地だからということで理解するとしてw、無星→一つ星ぐらいならまだしもとして二つ星でこの豪邸で豪遊し放題生活って、じゃあ三ツ星の四天王クラスになるとどんだけすげーんだよ!?っての!。城か!?城に住んでんのか!??。
一つ星ぐらいならまだしもとは言いましたが、今までなんだかわかんないものを細かく刻んでコロッケにしてたものが正真正銘のメンチカツを食べられるようになるってそれだけでも幸せ感じるよね。むしろこれぐらいの幸せだからこそその有難味を“実感”できるんじゃないかなぁ。だからこれぐらいの幸せで留めておけばいいんだけど、でもそうできないのが人間、なんだよねぇ。皐月様のお言葉を借りるならば「成功は欲望を生み」「欲望は破滅を呼ぶ」としても「一度快楽を知ればもう抜けられない」それが人間なんだと。
そしてその快楽は星をつけた極制服によって齎される。
まさに『服を着た豚』であると。
なんだろう、なんだろうこの抗えない説得力。
そしてそれを満艦飾家と流子との関係性でもって描いてみせる。
『あのマコが』欲望を餌にして作られたシステムにいとも簡単に組み込まれてしまう様を見せることで、『あのバカな満艦飾家』がアッサリ流子を犠牲にする(犠牲にしようとする)様を見せることで、いかにそのシステムが残酷であるかを、いかにそのシステムから抜け出すことが難しいかを描いてみせた。
満艦飾家の変わり様って、気持ち的には理解できちゃうよね。ノー遅刻デーで一つ星生徒が住む階層の住人たちが流子たちが乗るバスに向けて容赦なく銃火器ぶっ放してたのも生活レベルを守りたいという一心からの行動だったことが今なら分かる(本能字学園が治めるこの島には「医師会」などというものが存在してるしキャバクラもあればホストクラブもあって高級チョコレート屋もあることが分かったけど、そこで働いている人は給料という対価を受け取っているのではないかと思うわけで、でも本能字学園には極制服という揺るぎないシステムがある以上そこでどれほどの金を稼ごうが生活レベルには直結しないであろうわけで、じゃあ働くことの意味って一体・・・?という疑問は残りますが)。本能字学園のシステムって残酷なまでに分かりやすい。
だけど家族みんなでちゃぶ台囲んで得体のしれない飯を食べるシーンを積み重ねてきたからこそ今回の「また一人ぼっちの食事になってしまった流子」の気持ちが分かるわけで、毎度毎度満艦飾家の馬鹿男どもが流子の風呂やら着替えやらをグヘグヘ覗こうとするシーンを積み重ねてきたからこそ「いるわけないと思いながらも窓を開けて三人の姿を探してしまう流子」の寂しさがわかるわけで、だから分かるけどそれじゃ駄目だ!という流子の想いに、喧嘩部部長としてついに二つ星極制服を着たマコに顔面ボッコボコにされながらもやり返そうとしない流子の信念に共感できる。
だからなんで花火?(笑)と思いながらも感動っぽい感じになっちゃうんだよー!。


人間は「力で屈服させるしかない服を着た豚」だと言い切る皐月様。
人間は「欲望も自分の意思で抑え込める」とマコという実例をもって宣言した流子。
結局のところ皐月様の言い分と流子の言い分をすり合わせると自分の器に見合った服を着る(それ以上を望まない)ってのが目指すべきところなのではないかと思うのだけど、二人の言う『人間』である本能字学園の生徒たちは壊散総戦挙でどうなるのか。
でも予告はどう見ても蒲郡先輩劇場であーる!回にしか見えないんだよなー(笑)。