道尾 秀介『鏡の花』

鏡の花

鏡の花

登場人物が重なる連作短編集か、一見繋がりのない物語が読み進めていくうちに一つの大きな物語になっていく、そんな形の連作短編集なのかと思いきや、え?なにこれどういうこと?パラレル?それとも鏡の向こうの世界というか合わせ鏡に映った世界というか、もし○○が○○じゃなかったら?ってな話なのか?。
というか、もしあの時あんなことをしなければ、もしあんなことが起こらなければ・・・と思っても、その影響はどこかに必ず出るバタフライエフェクトの捻ったバージョン的な感じか。バタフライエフェクトは同軸上の未来でその影響が出るけど、これは同軸上で例えば1つ前の話で死んだのは旦那なのに次の話では妻になってたりと左右・前後に反転というかねじりが加えられているものの時間軸としては同軸上というか。
それぞれわりと救われない系の「真相」が明らかになったりするので何がほんと(基本)でどこからがねじられた先の話なのかはわかりませんが、最後に収録されているタイトル作が最も生き苦しさを感じたので、全員がちょっとずつ笑えたことが現実だと、私はそれでいいや。