中里 友香『コンチェルト・ダスト』

コンチェルト・ダスト

コンチェルト・ダスト

かたや家族全員を、誰よりも大切で誰よりも愛する双子のエミリヤを惨殺され、養蜂業を営みながらエミリヤに捧げるべく幻の「銀の蘭」を探し求め旅を続けるエミール。彼が従えるは吸血鬼のドラガ。
かたや長男の婚礼パーティの夜一族郎党を何者かに殺害され、生き残った病臥の次兄とその恋人とともに屋敷に引きこもって暮らす「銀の蘭」の紋章をもつクルゼンシュテールン家のユリアン。声を失い、やがて兄をも失った彼の側に付き添うのは兄の恋人だった魔女・リオネラ。
エミールとユリアンの人生が交差した瞬間、血と報復のコンチェルトが幕を開ける。
・・・ってなもう設定勝負!!な作品で、そういうのが決して嫌いじゃない私だもんでわりと激しく喰いつきたいところではあるんですが、肝心のドラガが・・・。
何がいいって倒錯した美少年(過呼吸もち)のエミールに虐げられるドラガが、双子に忠誠を誓ったドラガなので何をされても逆らわず顔面ぐちゃぐちゃにされても大人しく打たれ続けるだけのドラガが、ドラガを憎みながらも離れられないエミールとのその関係性がそれはそれはもう・・・好み設定であるわけですが、云わばアバンにあたるパートで猫を連れたエミリヤという美少女とエミールという犬を連れた美少年と偶然であったドラガという男が次の瞬間エミールの下僕として結構ひどい扱いを受けていて、え?どういうこと?これドラガ違いの別人!?とか思ったら、その後行き倒れてたドラガに双子がそれぞれ血を与えてて(同時に手を切り二人の血を混ぜ合わせる形で飲ませてて)、え?どういうこと?ドラガいつから吸血鬼になったん???とポカーン。
中里さんと言えば吸血鬼!らしいのですが、私はまだそれを「当然」として受け止められる域には達していないので、ここはもうちょい丁寧な説明を求めたいところ。まさに俺達の戦いはこれからだ!ってなところで終わっているのでこれまたポカーンってなったんだけど、どうやらこれはエミールとユリアンの復讐譚の前編にあたるようで(コンチェルトと題しながら第二楽章で終わるってことはないもんね)物語は続く(作者の中にその構想がある)、ということらしいんで、今後吸血鬼・ドラガの補足説明があるって信じてます!。