両角 長彦『デスダイバー』

デスダイバー

デスダイバー

初めて読む作家さんです。
バーチャル・セックスやバーチャル・ドラッグの先にある『VD(バーチャル・デス)』のトップ企業で、新製品開発発表前にカリスマ社長を始め主要幹部と研究者が全員死亡する事故が起こり、日本で唯一のUAI(未確認事象捜査官)が調査を依頼される。そこで彼女が見たものは、たどり着いた先にあるものは・・・。ってな話なんだけど、陳腐な表現をするならば「死」すらもエンターテイメントにしてしまう人間の貪欲さを描いているのですが、登場人物の背景・内面(心情)から展開そのものまで全てが薄すぎる。あらすじ読んでる感じ。もしくは脚本のト書き。
クライマックスシーンは特にそれが顕著で、映像にしたら面白いのかなぁ・・・?と思ったんだけど、小説としては情報量が足りなさすぎて話のわりに熱量が全く感じられず、淡々と読み終えてしまいました。
各章の扉ページにVDとして発売されている製品の仕様説明(射殺だったらこれこれこういう流れで死に至りますがそれを六十秒かけて体験することが出来ます的な)があるんだけど、それもなんか中二くさいなぁ・・・とか思ってたら巻末で参考図書として完全自殺マニュアルが挙げられてて・・・つまりそんな感じです(笑)。