北村 一光『シャッター・マウンテン』

シャッター・マウンテン

シャッター・マウンテン

初めて読む作家さんです。
ある視点の人物が荒れ模様の天気を見て過去を思い出す→錯乱した女性と頭部に重傷を負った若者が担ぎ込まれる というこの場面(59ページ〜60ページ)があまりにも唐突すぎて、時系列がよく分からないままとりあえず読み進めはするもののそれ以降も唐突感は増すばかりなのでわりと本気でページ抜け落ちてんのかな?と思ったぐらいだったのですが、この場面に限らず全体的に視点の切り替えがあまりうまくないかなーと。あちらこちらで多発的に不可思議なことが発生するのはいいんだけど、それ自体が連動してるわけではないにしても各場面がぶつ切れすぎで、「一体今この山で何が起こっているのか!?」という恐怖が人々の間にじわじわと浸食する様を描いているはずなのに、そのせいで肝心の「じわじわ」部分が全然じわじわとは感じられない。それにこの犠牲になった人が全く浮かばれない結末って・・・。
と最後まで読み終わったところで巻末を見たらですね、この著者の方は病気でお亡くなりになっていて、この作品は使っていたパソコンに残されていたものなんですって・・・。これが完成形に対し何割の段階なのかは分かりませんが、そういうことならばこのぶつ切り感も仕方がないことなのかなぁと。