『泣くな、はらちゃん』第9話

工場長をたまちゃんとして漫画に描いた時点でこういうこと(越前さんが自分を漫画に描く)になるんじゃないかなーとは思ってたんだけど、でも工場長の場合はもうこの世に工場長としては存在してなかったし、漫画の中でもあくまでも「たまちゃん」であって工場長とイコールではなかったからまぁなんとなく納得はできたんだけど、越前さんの場合はさすがにやりすぎかなーと。だってこれってさぁ、現実逃避ってかもう・・・はっきり言っちゃえば自殺じゃない?意味合い的には。
元々越前さんは現実世界で生き辛さを感じていたのだろうし、漫画を描くことでその現実に耐えていたわけだよね。
娘が漫画に自分を描いて失踪した(表向きはそういうことだよね)ってのに、それを見た母親が取り乱すこともなく「いい笑顔ねぇ」って泣き笑いしちゃうぐらい、きっと結構つらかったのだと思う。
だからって逃げちゃマズいだろうと。だって逃げたら終わりじゃん?。
でも多分越前さんは戻ってくるよね。
戻ってくるんだろうけどさ、一度『逃げた』越前さんがどんな理由で、どんな流れで戻ってくるのか、これ相当ハードル高いと思うんだけど。
前回はらちゃんたちがこの世が楽しいだけでなく恐ろしい(面もある)世界であることを知り、今回は知ったどころか“暴力”を振るわれ、そして自らも振るってしまったことで百合子さんの言葉を借りるならばひとつ『現実に染まってしまった』のだろう。白く輝いて見えていた神様の世界に一滴の黒い染みが落ちてしまった。一度染みができてしまったらもう二度と白には戻れないと某サキさんが言っていたけれど、現実世界に残るということはその染みがどんどんと大きくなることだと、それがこちらの世界で生きることだとあの暴力をもって実感した漫画の世界の住人たちは、自分たちのなんら変わり映えのしない小さな、でも争いのない世界に戻ることを選んだわけだよね。
はらちゃんが越前さんに必死で「嫌いにならないでください」って懇願してたけど、きっともうこれ以上染まりたくなかったんだと思う。神様や、神様の世界で出会った素晴らしい人たちに嫌われるようなことをしたくなかったんだと思う。
言葉にこそ出さなかったけど、越前さんに嫌われたくなくて、越前さんには幸せでいて欲しいから、だからはらちゃんも戻ることを選ぼうとしてたんだと思う。
はらちゃんたちが漫画の世界に戻ることを選んだこと自体はいいと思うんだ。だって彼らは元々その世界の住人なわけだから。
で、わたしは彼らが戻ることを選んだ、いや、“選べた”のは神様がこれからもずっと自分たちを描き続けてくれるからだと信じてるからだと思ったんだ。
それなのに越前さんが自分まで漫画の世界に入っちゃったらもうこれ以上はらちゃんたちの世界を描く人がいなくなるわけで、それってつまり道連れじゃん?と。
百合子さんの話としてあれだけ丁寧に漫画の世界における「死」を描き、その上で百合子さんに「逃げないで」と想いをぶつけたってのに、越前さんはそれを間近で見ていたうえで、そういうモロモロをもわかったうえで、それでも「逃げる」ことを選ぶのかーと。
それだけ生きることが苦しくて、だからそれだけの覚悟というか決意というか、そういうものを持って漫画の世界へ逃避したってんならもはや言うことは何もないんだけど、でもわたしには越前さんがそこまで生き辛さを感じてるようには思えないんだよね。そりゃあ鬱憤は溜まりまくってたようだけど、でも所詮「鬱憤」程度じゃん。ちょっとおかしな人たちではあるけれど、もう二度と母親と弟に会えなくても漫画の世界で生きる方がいいと、そこまで考えるほど辛い人生なのか?としか思えない。
まぁ、人生辛いとかそういうことではなく、もっと純粋に、ただただ単純にはらちゃんが好きだから、はらちゃんとずっと一緒にいたいからってことかもだけど、だったら越前さんは戻ってくることないよね。母親と弟よりも愛する男を選んだってんならそれはそれでアリだと思うし。
(そういう意味では現実から漫画世界に行ける(戻ってこれないかもだけど)という選択肢を与えられた悪魔さんがどちらを選ぶのか?ってのは興味あるところ)。


そんなわけで、最終回最大の見どころは越前さんがどうやって戻ってくるのか、ということになるかと思うのですが、ノート片手にチャリで爆走しながら「姉ちゃん戻ってこいよ!!オラオラオラアアア!」って絶叫してた弟が!!ついに弟のフォローが入りそうなんですけども!!!。
・・・・・・ま、まぁ?あのあとに「姉ちゃんが戻ってきてくれないと俺が働かなくちゃならないじゃないかー」とかなんとか言うのかもしれませんがw(むしろ言って欲しいw)、これまでの姉ちゃんのノートに対する非道と言っていいであろう数々の行動は全て最終回の前フリであった!ってなことなんだと信じて、とりあえず弟の頑張りに期待します!!。