M&Oplaysプロデュース『八犬伝』@Bunkamuraシアターコクーン

あの分量の原作を3時間弱の舞台にするわけですからダイジェスト版になるであろうことは予想してましたが、ダイジェストどころか後半まるで別の話になっててウルトラポカーン。
いや、あの分量とか別の話とか知ったかぶったこと言ってるもののわたしが「南総 里見八犬伝」という作品に触れたのは歌舞伎として上演されたものを何度かと昨年末に上演されたイケメン★八犬伝と、あとタッキー主演のテレビドラマと、あとあと現在放送中の同タイトルアニメぐらいなわけで、つまりちゃんと原作を読んだことがあるわけではないんですよね。八犬士をはじめとする登場人物の(無駄)知識はあるものの物語に関してはあらすじレベルの知識しかありません。
それでも原作と違いすぎることは明らかに判る(笑)。それぐらい結構なトンデモ改変がなされてます(笑)。
だがしかしこれはこれで面白かったです。
ていうかひたすらサダヲが飛んで跳ねて斬って叫んで叩いてたってな印象で、それっていつものサダヲなんだけどさ、それでも3時間弱の間ひとときも飽きることがなかった。まったくもってわたしの好きな信乃さん(イケメン)ではありませんでしがw、まさに『阿部サダヲの犬塚信乃』で、とにかくサダヲの存在感、サダヲの魅力で突っ走ったって感じ。サダヲはほんと観ていて飽きない役者だ。
それから二階堂ふみちゃんと中村倫也くんもなかなか良かった!。
ついでにそれとはちょっと違う意味になりますが^^2幕冒頭の瀬戸様はさすがの使われ方でこれまたなかなかのゴクリっぷりでございました。
あとあと、殺陣指導・前田さん音響・大木さんによる殺陣シーンは見応えありまくり!!。特にレオゾディアーツ・立神さんでお馴染みの横山さんVSサダヲ・倫也くん・近藤公園さん・尾上寛之くんは横山さんの圧倒的な禍々しさと相まってものすごい迫力で、ここだけでも観る甲斐があったってなもんですよ!!。
サダヲがどこかのインタビューで『全編殺陣』って言ってるのを見かけた記憶があるんだけど、確かに殺陣の割合かなりのもんなんですよね。でも見せ方が巧いというか、前田さんの殺陣は斬り合いの中に流れがあって純粋にエンターテイメント性が高いので全然飽きない。それに大木さんによる剣と剣がぶつかり合う音が加わることによって熱量と疾走感がググっと増すんだよねぇ。しかも今回はそれに加えてバックで生太鼓がドンドコ鳴ってるもんでやたら滾る(笑)。
開幕してそんなに経ってないので特に長槍を扱う田辺さんあたりはまだちょっとぎこちなさが見受けられたけど、慣れてきたらこれ相当カッコいい戦いになると思う(その前に体力が尽きないといいけど^^)。



以下内容に触れてます。




おいおいおいおいこれ倫也くんちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお美味しい役なんですけど!!!!!
倫也くんは毛野さん役なんだけどね、もともと親の恨みがある上に女として育てられ自分ももう女のつもりでいるけどでも子供を産むことはできなくって、そんな中途半端な自分に嫌気がさしてるのかなぁ?、正直動機がよく分からなくはあったんですが、とにかく毛野さんは八剣士を裏切り玉梓側につくわけですよ!。
まず最初は小文吾を色仕掛けで斬殺し、続けて黒装束に身を包み手下とともに大角と現八も殺っちまう毛野さんってなにそれ!!!(しろめ)・・・ではあるんだけど、倫也くんの毛野さんはやたらめったら刹那的な色気があってですね、まさに悪女って感じでタマランのですよ!!。
ていうかこのトンデモ八犬伝は玉梓の魂が破傷風を患い死の淵を彷徨う信乃さんを助けるために“破傷風を治すには男と女の血をキッチリ五分ずつ混ぜたものをぶっかければいい”という親兵衛の話(一応実体験)に縋り、荘助とともに首斬って血を絞りそして死んだ(荘助は死なず)浜路の身体を乗っ取ったってな話なのね。つまり二階堂ふみちゃんが玉梓をも演じているわけです。
ふみちゃんは可憐で健気な浜路と悪女・玉梓を見事に演じ分け、特に玉梓の方は小さい身体全部使って絶叫し、最期は斬られステージ最上段から背後に大の字落ちとまさに体当たりの熱演なんだけど、でもやっぱり可愛いんだよね。妖艶さみたいなものはどうしたってまだ持ち得ないわけで、そこを倫也くんの毛野さんが補ってたの。
毛野さんに斬り殺された現八たちは玉梓の力でゾンビとなって(ほんとトンデモ^^^^)信乃さんたちの前に立ちふさがるんだけど、八犬士の証明である「痣」を斬られることで成仏し(ほんとトンデモ^^^^)、最後に一人残った毛野さんはというと自らの首を掻っ斬り「生まれ変わったら畜生になってやる、人間よりも畜生の方がマシだ」と叫びながら死ぬし、最も強烈な存在感だった。
いやーRENTを経て倫也くん化けたね。サダヲ信乃さんが表の主役ならば裏の主役は間違いなく倫也くんの毛野さんです!!。


瀬戸様は信乃様ラブの荘助役で、1幕は大した出番はないんだけど2幕は幕が開いたら舞台上で磔にされてるわ信乃様のために首斬って血まみれでハァハァしてるわさすがのヒロインっぷりでございます!!!。あとまぁ毛野さんの裏切り活躍によって8つの玉をまんまと手に入れフハハハハーと高笑いする玉梓を背後から村雨でグッサリ斬り殺すという見せ場もあるんだけど(信乃さんに「お前はいつも美味しいところを持っていくな」と真顔で突っ込まれますw)、瀬戸様が輝くのは断然前者でございます!!。ていうかなんで磔シーンはもっと着物がズタボロじゃないんですかーヽ(`Д´)ノ 痣見せのシーンで片肌脱ぐんで乳首お披露目はありますが、自ら脱いだ乳首とズタボロの奥でチラ見えする乳首では価値が全く違うんだよーヽ(`Д´)ノ
八犬士がようやく揃ったところで毛野さん発案で名乗りってか見得があるんだけど、そこで荘助はゴロンと一回転からの〜片膝付いての名乗りで、この動きのキレはさすがヒーロー経験者!!。
てかこの名乗りはもっと外連味あっていいと思った。名乗り終えるとなぜだか田辺誠一のゝ大法師も混じって一列に並んで足ドカドカ踏み鳴らすストンプ?ダンス?みたいなのが始まるんだけどw、これはこれでカッコいいんだけど(特にツダカンが!!)そのせいで名乗りの印象薄まっちゃう気がする。


ツダカンの道節は人物造詣も動きも八犬士の中では最も原作に近かったけど、サダヲの信乃さんを筆頭にわりとみんなコメディ寄りの作りなので“浮いて”もいいだろうに、よくも悪くも馴染んでしまっていたかなー。道節さんの面白シーンはないので恐らくツダカン道節は「渋カッコいい担当」だと思うのですが、確かにカッコよくはあったけど、でもツダカンだけにもっとクセのあるというかアクの強いというか、そういう道節が見られるかなーと思っていたのでちょっと物足りなさは残る。
あ、そうだ。最終的に生き残るのはサダヲ信乃さんと瀬戸様荘助とツダカン道節の三人のみなんだけど、そこで道節が荘助に対し徐に「信乃を助けるために妹の首を斬った時、自分だけ助かろうと手加減しなかったか?」「さっきも玉梓が乗り移ってるとはいえ身体そのものは浜路のものなのに躊躇いなく斬り殺してたし」とか言いだすんだよね。荘助を責めるというよりかは「どうしてもそう考えてしまう」自分の弱さとか醜さを恥じているような感じではあるんだけど、あのタイミングで道節にそんなことを言わせる必要があるかなぁ?と。そのあと三人は「とりあえず悪事(悪人)をバッサバッサと斬りまくり、“自由”な“俺達の国”を作ろうぜー」と笑いながら肩を並べて歩いていくというラストカットなんだけど、単純なる「俺達の戦いはこれからだ」ではなく道節→荘助の台詞を入れたことで『それぞれ思うところはあるけれど』って印象が残るわけで、そういうちょっとした苦味、みたいなものは青木さんらしいなとは思うんだけど、ちょっと唐突な感じは否めないかなーと。



まぁでもなんだかんだいっても舞台上で躍動するサダヲだけで満足なんですがね(笑)。可愛くて面白くて超カッコいいサダヲをこれでもかー!の勢いで堪能できただけでだいまんぞく(笑)。公園さんが作ってくれたお粥の中身を「わー草ばっかりだねー(ぼうよみ)」(さいきんマクロビに目覚めまして)「あーマクロビ・・・。へぇ・・・マクロビ・・・・・・」ってあのサダヲにしか出来ない独特の間合いでチクチクするのとか最高だしw、あと信乃さんVS現八の屋根上バトルはみっちりコッテリ(笑)やるんだけど、そこでサダヲと尾上くんが太鼓ドンドコするよー!。おっきな太鼓をドンドコするサダヲの姿だけでチケ代の元取れた(笑)。