わたしの短い歌舞伎鑑賞歴の中で、最も印象に残っているのは2006年5月の團菊祭初日。白血病を克服し、外郎売團十郎さんが復帰したあの日あの瞬間です。
戻って来てくれた團十郎さんへの感謝と喜びに溢れたあの大向うと拍手の洪水。
後にも先にも劇場があんなにもあったかくてしあわせな空気に包まれた瞬間をわたしは他に知りません。
役を演じるというだけならば代わりの人はいるかもしれない。いや、そうでなくてはならないだろう。
でもあのおおらかですべてを明るく照らしてくれるまさに太陽のような存在感は他の誰にも代わりはできない。
ああ・・・もう新しい歌舞伎座に太陽が昇ることはないんだなぁ。