木内 一裕『神様からの贈り物』

神様の贈り物

神様の贈り物

器質的な原因から感情を持たず(知らず)殺し屋になった男が、目を撃たれたものの手術によって一命を取り留め、その際に器質的な原因も取り除かれたことで「感情」を知る。男はそれを「神様からの贈り物」と考え幸せ=生きる事の意味を求めようとし、そんな男の純粋さは男と関わる人々の中にも何かを思い出させ、芽生えさせていく。
殺し屋などという属性の主人公なので、いい話と見せかけてドンパチしまくりスプラッター描写ありまくりのダークな物語かと思いきや、「神様」の正体がわかった瞬間思わずグッとこみあげてしまったほどの『いい話』でした。事前予想が予想だっただけに戸惑いそして恥ずかしい気持ちになるほどいい話。
でも惜しむらくは主人公の人種なんだよなぁ・・・。劇中で日本人ではないことに別段の意味はなかったと思うので(逆にそれが社会に対しさしたる影響を及ぼさないというか、特別視されないことに意味があるのかもだけど)、普通にそう呼ばれている日本人でよかったのになぁと思いはしました。