黒川 博行『繚乱』

繚乱

繚乱

ヤクザだろうが元刑事だろうが属性関係なく所構わず暴れまくり飲み食いしまくる相変わらずの黒川節炸裂の中、これまた相変わらずの“業界ネタ”がふんだんに取り入れられた緻密で精密なシノギ合いをひたすら堪能いたしました。今回は「競売」をネタに利権に群がるド腐れどもたちがゴチャゴチャする話なのですが、インテリジェンスと暴力性を一つの作品の中でこうも違和感なく同居させる手腕はいつもながら凄まじい。
取り柄は勤務時間厳守で与えられた仕事をコツコツこなす真面目さだけという仕事に対し野心も向上心も欠片も持ち合わせていない私なので、黒川作品の登場人物たちに共通する『このシノギをなんとしてもモノにする』という意思、そのためならどこへでも行くし最終的には手段も選ばないアクティブさ、そこいらへんには心底感心するし憧れる。人間としてはどいつもこいつも最悪だけど(笑)。