石田 衣良『北斗 ある殺人者の回心』

北斗 ある殺人者の回心

北斗 ある殺人者の回心

産まれた時から両親によって激しい虐待を受け続けていた少年が保護され里親と出会い愛されることを知り、自分を愛してくれた唯一の人の復讐として人を殺める。そうして「殺人者」となった青年が裁判で過去の自分を暴かれ曝け出され、その中であらゆる人が自分に向ける想いを知り、自分のしたことや自分自身と向き合い悩み考え、やがて答えを見つける。・・・とまぁそんな話で、後半は法廷でのやりとりが中心だし主人公の対照として拘置所で王のようにふるまう「死刑囚」も出てくるのでテーマとしては「死刑制度」だと思って読んでいたのですが、終わってみれば死刑はタイトルにある通り主人公が「回心」に至る様を描くための言い方悪いけどスパイス程度の扱いでした。一度死んで生き返るために「死刑」を使ったというか。
先日死刑制度をテーマにしたちょっと変わった趣向(視点)の舞台を見て死刑という刑罰について考えてたこともありこの本を読む気になったんだけど、参考になったかと言ったらまぁ・・・ならなかったかな(笑)。
ていうか、どうでもいいことではあるんですけどね、主人公は里親の入院に際し自分に節約を課すのですが、そのために夕食は毎日100円ってのはいいんだけどその100円をどう使うかっつったら“100円ショップで韓国製のカップラーメンを買う”わけですよ。スーパーに行けば国産メーカーが出してるカップラーメンが70円前後で買えるんだけど、石田衣良はそれが必死の節約だと思ってるんだなーってちょっとぼんやりしたよね(笑)。編集仕事しろよ(笑)。