『大奥〜誕生[有功・家光篇]』第8話

わたしの中で捨蔵は思いのほか大きな存在だったらしく、名実ともにもうこのお話の中に捨蔵は存在してないんだなぁ・・・と思うと気が抜けてしまったのか有功様渾身のお褥すべりの申し出がそこまで響いてはこなかった・・・かなぁ。
ていうか男女の業から解放してくださいと懇願する有功様の気持ちは分かるけど、でもやっぱり辛いのは女である上様の方に決まってんじゃん。確かに母となっただけでなく女将軍として表舞台で生きられる上様の置かれてる環境は以前とは違うんだろうよ。その上でもう誰に咎められることもなく有功と夜を過ごせると言う上様にとっては、子どもを作るための夜伽は仕事、有功との夜伽は愛の営みとキッチリ区別ができることなのかもしれない。でも有功様はそれが我慢できないというわけだよね。なぜなら上様を本気で愛しているから。愛しているのに自分は上様に子を授けてやることができない。愛する女が他の男に抱かれるのは他ではない自分自身の能力が理由なわけで、そんなのはもう我慢できないと、だったらいっそ“そういう関係”ではなくなりたいと、そういうことなわけだよね。
・・・・・・上様の気持ちはどうなんの?と思っちゃうよなぁ。
重い悪阻に耐え難産を乗り越え2人目産んでこれでとりあえず“仕事”の成果を出したからようやく愛する有功と一緒にいられると思ったんだろうに、その日だけを想って耐えてきたんだろうに・・・ってなぁ。
でも今後女将軍が立った場合その最初最初の男は腹を斬らせるってな話をした時に有功が諌めてくれなかったあたりで薄々感じてたというか、女将軍として表舞台に立った時点でもう二人で死ぬという約束を叶えることは無理だと、もうこれまでのような関係ではいられないと分かってたんじゃないかな、上様は。そう思うと有功のお褥滑り=別れの言葉を静かにほほ笑んで受け入れる上様が哀しいまでに立派で、切ないまでに強くて、それはそれと割り切って公私ともに支えてやればいいじゃねーかよ有功様よぉヽ(`Д´)ノと思ってしまう。
でも男女の業=嫉妬心から解き放ってもらい、春日局の跡を継ぎ大奥総取締として流水紋を背に上様と並んで立つ有功様のお姿は凛々しく漲っておった。
きっとこれが有功様が考え抜いた末に辿りついた上様に対する愛の形なんだろうな。


捨蔵亡き今、松平信綱・輝綱父娘の存在だけが癒しです。正勝の娘とすれ違った後わが娘を改めて上から下まで眺め悲しい顔をするとーちゃんワロタw。