『仮面ライダーウィザード』第13話「夢を継ぐ者」

瞬平の頑張りによって料亭が取引を再開してくれるとか棚ボタ的な感じで客が来るようになるとか、そういうドラマ的ミラクル展開になるかと思ってたんだけど、でもこの和菓子屋はファントムにちょっかい出されずとも遠からず店を畳むかどうかの判断を迫られていたようだし(だからファントムにあれこれされても絶望しなかった)、店を畳んだとしても弟子が素直に別の店での修業を受け入れるかわかんないし本人が言うように年齢的なこともあるしってんで、酷な言い方にはなりますがそういう意味では“いい機会”だったと言えるのではないかと思うわけで、弟子が自分の味を憶えていてくれるならば、自分の味を受け継いでくれるのであればそれでいいと、それこそが自分の希望であると、そういう落としどころだったってのはとても香村さんらしいなーと思った。弟子の“その後”を梅林堂だっけ?あの店のユニフォーム姿を見せるだけで言葉でははっきりと描かなかったってのもいい演出だなと。
現実問題もうどうにもならなかったっぽいもんね、この店。料亭の件も材料費支払の件も、ああまで言われるってことは技術や味だけではフォローしきれない問題があるんだろうとしか思えないわけでさ、弟子の存在がなければとうに店畳んでただろう。でも自分の味を、自分の技術を学びたいと言ってくれる若者がいるから、コイツを一人前にするまでは・・・と頑張ってやってきたのだと思うの。だからこそ師匠は自分こそがゲート=命を狙われていることを顧みず、弟子が(自分が)信頼できる職人の下で引き続き修業を続けられるよう道を付けてくれたのだと思う。師匠にとって自分がここまで育てた自分の味を憶えてるこの弟子はそれだけ大切な、言ってしまえば自分の命と同じぐらい大切な存在だということだよね。師匠と弟子の話としてはとても素敵な展開だったと思う。子供番組でこのホロ苦さってのはどうなんだろうなぁ?とは思いますがw。
で、その師匠と弟子の話をレギュラー陣にどう絡めるのかと思ったら、晴人が自分も弟子(瞬平の先輩)のように瞬平から夢=希望を託された者であることを再確認するって、え?なんかズレてね??。だって晴人は改めてそれを確認せずとも常に自分は人々の希望を背負った魔法使いであることを意識してるように、自分が「最後の希望」であるという自覚はしっかりと持ってるようにわたしには見えるもん。だからこれは晴人の言葉を通して瞬平を晴人に希望を託した存在であると改めて位置づけするための話・・・ってことなんだろうけど、それはエンゲージした時から分かってる“設定”なわけでさ、そういう存在の瞬平がじゃあ魔法使いの弟子・・・ではなく『助手』として、これから具体的になにをどうやっていくつもりなのか(やらせるつもりなのか)ってことを見せてくれると思ってたわけですよ。
瞬平が料亭に乗り込んでってもう一度取引してくれるよう頼み込んでる一方で、当の師匠と弟子はすでに「前」を見てたわけだよね。つまり気持ちはどうあれ瞬平のやってたことは無意味でしかなかった。で、じゃあどうすんだ?っつったら師匠が認めてくれた先輩の饅頭を『そうとは知らずに反射的に守った』と。
・・・・・・・・え?それでいいの?。
これさ、この饅頭にどういう想いが込められているか知ってるからこそ瞬平が必死で守ろうとすることに意味が生まれるんじゃないのかなぁ?。だって実際問題としていくら潰れてないっつってもあんな水しぶきが掛かったっぽい饅頭を“履歴書代わり”として持ってくわけないじゃん。饅頭は10個以上作ってたし、店に持ってくための箱に入ってたのは6個だったよね?。てことはまた店に戻って詰め直した饅頭を持っていけばいいだけだし、ていうかそうしただろ、実際のところは。あの水落ち寸前の最後の一個=師匠と弟子が繋いだ『希望』なわけで、だからこそ守ることに意味があったわけだけど、そうと知って必死で守るのとなんとなく身体が反応しちゃっただけなのじゃ意味合いが全然違わねえ?。恐らくなぜあの饅頭を守らねばならないか、その理由を知らずとも身体張ってそれを守ることができる、守ろうとすることができる、それが瞬平という人間だってなことなのでしょうが、そうは思えてもでもなーーーーーーんかしっくりこないんだよなぁ。
ていうかさ、魔法使いになりたかったけどなれない、だからせめてその夢を継いでくれ体現してくれる晴人さんの手伝いをしたいってのはいいんだけどさ、でもそれは言い換えれば“叶うはずのない願い(夢)を引きずり続けてる”ことになるんじゃないの?と思うんだよね。何が言いたいかっつったら、魔法使いになりたい以外の夢とか希望を持てよ瞬平!ってことなんですよ。繰り返しになるけど魔法使いの助手っつっても具体的に何かが出来るわけじゃないわけでさ、晴人の周りをうろちょろしつつ今回みたいに“たまたま”饅頭守れたことを褒められてデヘヘヘヘってしてることは瞬平にとって果たして前向きだと言えるのだろうかと思うんだよなー。そうと知らなくとも希望を守るために頑張れるのが瞬平であるというのならばファントムとかゲートに拘らずその力で人々の役に立つ道を探すべきなんじゃないの?と思ってしまう。だってファントムを生みだしこそしなくても絶望しちゃってる(しそうになっちゃってる)普通の人間なんていっぱいいるでしょう?。ゲートを守り救うのはウィザードである晴人でなけりゃ出来ないけど、ゲートでない人間ならば瞬平にだって救うことが出来るかもしれないじゃん。もしそこでその人に希望を与えることができたなら、それはその人にとって『魔法の力』かもしれないじゃん。
わたしはこれまで瞬平が『新たな希望』を見つけるってのも作品通して描くべきことの一つなんだろうなと思って見続けてきたんだけど、今回の話を見ちゃうとちょっと雲行きが怪しくなってきたのではないかと・・・・・・。


てかさ、今までは担当ファントムしか“ゲートを絶望させるポイント”を知らなかった(ように見えた)わけだけど、今回は明らかに弟子の存在こそがそれだとメデューサ様にバレたわけだよね。それなのにバルキリー倒しただけでいいのか?。ファントムとやらは魔法使いの青年が退治してくれ、自分の想いを知り味を継ぐことを誓ってくれた弟子が新たな店で修業を開始し、そして自分は店を畳んだ今の師匠は晴れやかな気持ちなんじゃないかと思うのね。そりゃ寂しさみたいなものはあるだろうけど、でも弟子が自分の味を継承してくれることでむしろ希望を抱いてすらいるんじゃないかと思う。であればこそ、この直後にその弟子が再びファントムに襲われ命を落としてしまったとしたら、それはもう絶望ロードまっしぐらなのではなかろうかと・・・。これまでもファントム倒したからといってまた襲われないという保証はないだろうに何でもう大丈夫みたいな空気になってんだ?ってな疑問があり続けてるわけだけど、今回は『絶望の鍵がなんであるかをメデューサが知った』というこれまでとは明確に違う点があるわけじゃん。どうやらファントムには活動範囲らしきものがあるようですが、弟子が海外とは言わずともその活動範囲外で修業するってんならともかく面影堂から徒歩圏内(?)にある別の店で修業を続けるとなると逆に別のファントムを向かわせないほうがおかしいだろ。これまでとは明らかに異なる状況を演出したんだからそろそろそこいらへんの説明が欲しいなぁ。