樋口 有介『猿の悲しみ』

猿の悲しみ

猿の悲しみ

殺人罪で服役中に16歳で出産し、その後担当弁護士の元で表向きは事務員裏ではヤバめな案件の調査員として働く女探偵が主人公なのですが、とにかくこの女探偵がカッコいいのなんのって!。
どんな事情(状況)であったとしても殺人という罪を犯した過去があるということはちゃんと自分の中に持ち続けていて、そんな自分が自分なりの目標のために出来る限りのことをすると、それが揺るがない人なんですよね。
その目標ってのは「息子に1億の現金を残すこと」で、基本スタンスとしては金さえ貰えればなんでもやるという拝金主義者なんだけど、「なんでも」の中には自分なりの正義があるし、貰った金額に見合うだけの仕事はキッチリとする。社会的には真っ当な人間とは言えないとしても、真っ直ぐな女であることは間違いない。息子の父親のことは家族や友人、お世話になってる人にも一切言わず秘密にし続けてるんだけど、それは多分相手と息子のことを想ってなんだよね。身を引いたつもりはないんだろうけど、自分ひとりで全部抱え守り続けていくと決められるだけの強さがある。精神だけでなく本格的にムエタイを身につけているので肉体的にも強く、おまけに美人で美脚。
とまぁ絵に描いたようなハイパー女なのですが、それが嫌味なく読めるというか、男性が主人公のハードボイルドとなんら変わりない感じで読めます。
これは恐らく続きが出ると思うんで、楽しみに待ちたい!。