石持 浅海『煽動者』

煽動者

煽動者

建物の中に数人の集団が存在していて、その中で殺人が起きる。事情があって警察の介入は望めない。そして外部からの侵入者はおらず、犯人はこの中にいる。
・・・ってな設定なんでクローズドサークルの亜流と言っていいのかなぁ?と思うんだけど、集団の素性と警察を介入させられない理由、そのアイディア一発勝負ってな感じで、推理の中身や犯人の動機もちゃんとそこに基づくものではあるもののそれが面白いか?というとそうでもなく、登場人物たちも説明以上の人物像が見えてこないんで誰が殺されようが誰が殺そうが“殺人が起きた”以上の何かを(気持ち的に)持ちようがないし、恐らくどんでん返し的な意図があるのであろうもう一つの“真実”も別段驚くほどではないというか「へー」ってな程度。