越谷 オサム『いとみち 二の糸』

いとみち 二の糸

いとみち 二の糸

通勤電車内で人目憚らずボロ泣きした「いとみち」の続編です!。
コンプレックスであるド津軽弁による人見知りを治すべく青森のメイド喫茶でバイトを始めた主人公の「いとっち」は高校二年生になり、「おかえりなさいませ、ご主人様」は相変わらず上手く言えないものの店内での津軽三味線コンサートは大評判で恒例化。タウン誌やガイドブックにも紹介され今では県外からもお客様が来るほどに。でも先輩メイドの幸子さんや智美さんは最近なぜか自分にだけよそよそしく、一方学校の友達ともいとっちが発した心無い一言が理由で喧嘩してしまい・・・ってな始まりなのでどうなってしまうのかと思いきや、そこは越谷オサムですから!見事な着地となっております!!。
私が知る限りでは越谷オサムにとって初の“続編”になると思うのですが、前作では主人公の「いとっち」の成長にキッチリと焦点を合わせ、その周囲の人たちはあくまでも“脇役”に徹してたのね。メイド喫茶の同僚も常連客も学校の友達もみんな“いろいろ”あるんだけどでも頑張って生きてて、そんな人々と関わることでいとっちが成長していく。前作がそういう物語だったのに対し、続編にあたる今作はそんな脇役たちの“いろいろ”が描かれています。
これがまたイイんだ!!。いろんな喜怒哀楽がぎゅうぎゅうに詰まってるんだけど、それらがみんな地に足ついてる感情で、尚且つ誰かを想ってのものだったりするんだよね。だからこそ苦しいし、だからこそとても優しい(個人的には山本先生のあれこれを興味深く読みました。泣ける・・・)。越谷オサムの作品はどれもこれも主人公(メイン)以外の登場人物たちも全てちゃんと生きてるというかその作品の中で一人の人間として存在してて、むしろそういう人々に何度も泣かされてたりするのですが、脇役にスポットが当てられた今作を読むと例えこうやって文字として描かれずともいつもきっと彼・彼女たちにはそれぞれの物語があったんだろうなーと、だからこそ越谷オサムの登場人物たちはみんなあんなにもキラキラしているんだなーと改めて感じます。
脇役にスポットが当てられていると書きましたが、いとっちにももちろん新しい物語が用意されてます!。いやー、これはもう・・・・・・照れるな!(笑)。いとっちらしくて照れる!(笑)。好みのタイプの中に“声”についての条件が含まれてるあたりこの女なかなか要求が高いな!ていうか出来るな!?と思ったもんですが(笑)、ニヤニヤしっぱなしでした。
ていうか、こういうタイプ(こういう設定)の男の子を持ってくるオサムのセンスが大好き!!。