小野 不由美『残穢』

残穢

残穢

現代の“ありがちな怪談”を手繰っていったら明治時代に端を発する「穢れの伝播」によるものだった・・・・・・・ってな話なのですが、怖い。とにかく怖い。
そもそもの始まりは怪談話を収集している女流作家のもとへ読者が「自宅マンションでこんなことがありました」と連絡してきたことなんだけど、これは受け取りようによっては“気のせい”と言えるようなものなんですよね。ほんとにちょっとした酒のつまみ程度の話なの。だけどこの読者がその種の話に興味があるうえに自身もライターだってんでこの部屋もしくはマンションにそういう現象が起こる理由があるのではないかと独自に調査を開始し、最初のうちは中々“コレ”というものが見つからないもののそのうちどんどんと死人やらなにやらがひっかかり始めるのです。こうなってくるともう完全に「うわぁ・・・・・・」ですよ。前述の通り最初はちょっとした話だったものが『本物』であることを知ってしまったらもう『ネタ』としては扱えない。
この手の大半の話は『ネタ』なんですよね。だけど中には一握りの『本物』がある。それは紛れもない事実だと思う。もし自分が “そういう出来事”に遭遇したとして、もしかしたらそれは本物かもしれない。だからこそ怖い。というかそれが怖い。
やっぱ日本の怨霊はハンパないわ。
ところで私はこの本を読むにあたり事前情報的なものを一切入れてなかったもんで、作中に平山夢明さんや福澤徹三さんという現実の作家さんのお名前も登場したもんだから驚いてしまったわけですが、もしかしてこれ半ノンフィクション的というか、小野不由美さんが実際に体験したことを下敷きにして書かれた作品だったりするのでしょうか?。・・・もうやめてー怖いー。