相場 英雄『ナンバー』

ナンバー

ナンバー

初めて読む作家さんになります。
タイトルの「ナンバー」というのは警視庁捜査二課知能犯係のことで、贈収賄や横領、脱税、不正取引等専門として扱う犯罪が異なる係ごとにつけられる数字=ナンバーからきているのですが、その中の「第三知能犯捜査係」通称「三知(サンチ)」に所属する警部補が主人公の連作短編集です。
この部署に配属されて間もない主人公が上司や先輩刑事に基本叱咤時々激励されつつ揉まれまくる様が描かれているのですが、毎日足を棒にし靴をすり減らして地道に証拠探しする捜査一課に比べて捜査二課ってスマートというか、「汗をかかない」イメージを抱いていたので、何千枚もの馬券のデータを表計算ソフトに入力しそこから導き出されるものをグラフ化して資料として報告するなんて、下手したら私の仕事とやってること変わらなくね?と思ってしまうほど『地味』な仕事なんだなーって、ちょっとばかり驚いてしまいました。
あと警視総監賞に金・銀・銅と種類があって、メダルを12枚集めると「十二桜」になるってのも初耳で、なんかちょっと勉強になった気分(笑)。
主人公は最後まで事件(ヤマ)に翻弄され思うようにいかずもがき続けます。でも確実に「三知の人間」として成長してる。その・・・・・・安易ではない成長具合が結構好み。
好みと言えば、元高校球児という主人公の背景も効いてると思う。ただの“設定”に留まらず、ちゃんと主人公と上司や同僚との関係性に影響を及ぼしてるし、のみならずひとつの事件の中でもしっかりと使われていて、上手いなーと思った。