ニホンゴムズカシイ・・・

今朝作家の道尾さんがこのようなツイートをされてました。

道尾秀介 @michioshusuke

煮詰まる、辛党、ぞっとしない、失笑、檄を飛ばす、役不足、話の「さわり」、おもむろに、確信犯、性癖、奇特、浮き足立つ、などは誤解されるので作中で使わないようにしています。RT @CODE0604ZERO ここ最近「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味で誤用している方が、結構いますね。

これ読んでちょっと不安になったので調べてみた。


まず誤用が多いという「煮詰まる」「行き詰まる」

に‐つま・る 【煮詰(ま)る】

1 煮えて水分がなくなる。「汁が―・る」
2 討議・検討が十分になされて、結論が出る段階に近づく。「問題が―・ってきた」→生煮え
◆近頃では、若者に限らず、「煮詰まってしまっていい考えが浮かばない」のように「行き詰まる」の意味で使われることが多くなっている。本来は誤用。2の意は1900年代後半に始まるようである。「行き詰まる」の意は1950年ころの使用例があるが、広まったのは2000年ころからか。
文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、「7日間に及ぶ議論で、計画が煮詰まった」を、本来の意味である「(議論や意見が十分に出尽くして)結論の出る状態になること」で使う人が56.7パーセント、間違った意味「(議論が行き詰まってしまって)結論が出せない状態になること」で使う人が37.3パーセントという結果が出ている。

http://kotobank.jp/word/%E7%85%AE%E8%A9%B0%E3%82%8B

ゆき‐づま・る 【行(き)詰(ま)る】

1 行く手がさえぎられて先へ行けなくなる。行きどまりとなる。いきづまる。「突き当たりで道が―・る」
2 物事がうまく先へ進まなくなる。いきづまる。「経営が―・る」

http://kotobank.jp/word/%E8%A1%8C%E8%A9%B0%E3%82%8B
意味的には真逆といっていいぐらい違うのに、なんでそんなに誤用する人が多いのだろうか。
ていうか「議論が煮詰ってしまって」と書くと(言うと)たしかに行き詰まってしまったと同じ意味に聞こえるけど、「計画が煮詰った」と書けば本来の意味として受け取るよねぇ?。だから最初に「煮詰る」という言葉に触れた時に正しい意味で使われていれば間違わずに認識できるけど、最初から誤った使い方をインプットしてしまったらそういう意味だと思い込んじゃう・・・か。それは「煮詰る」に限ったことではないけれど、4割近い人が間違って使っているとなると誤用インプットの確立も結構高くなるってことなのかな。


「辛党」

から‐とう 〔‐タウ〕 【辛党】

菓子などの甘いものよりも酒のほうを好む人。左党。⇔甘党。
から‐とう 〔‐タウ〕 【辛党】 菓子などの甘いものよりも酒のほうを好む人。左党。⇔甘党。

http://kotobank.jp/word/%E8%BE%9B%E5%85%9A
これはどうなんだろ?。「左党」は意味すらわかんない人もいそうだけど、これ間違った意味で受け取るってどういうこと?。物事に対するスタンスが基本辛らつとかそういう意味?常時ツン的な?。



「ぞっとしない」

ぞっとし ない

おもしろくない。あまり感心しない。「引出物にするには― ない品だ」
文化庁が発表した平成18年度「国語に関する世論調査」では、「今の映画は、余りぞっとしないものだった」を、本来の意味である「おもしろくない」で使う人が31.3パーセント、間違った意味「恐ろしくない」で使う人が54.1パーセントと、逆転した結果が出ている。
ぞっとしない おもしろくない。あまり感心しない。「引出物にするには―ない品だ」◆文化庁が発表した平.....

http://kotobank.jp/word/%E3%81%9E%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84
そもそも「ぞっとしない」って最近聞かないように思うけど、「今の映画は、余りぞっとしないものだった」ってこの例文だとそら「恐ろしくない」って意味だと思う人のが多いだろ。もしこれが「引出物にするにはぞっとしない品だ」という例文だったらさすがに「恐ろしくない」って意味だとは思わないよねぇ。


「失笑」

しっ‐しょう 〔‐セウ〕 【失笑】

[名](スル)思わず笑い出してしまうこと。おかしさのあまり噴き出すこと。「場違いな発言に―する」

http://kotobank.jp/word/%E5%A4%B1%E7%AC%91
あ、わたしこれ間違って使ってる・・・。本来はいい意味ってか、好意的な笑いってことだよね?。わたし「くだらなすぎて笑うしかない」的な意味で使ってる。オウ・・・。


「檄を飛ばす」

檄(げき)を飛(と)ば・す

自分の主張や考えを広く人々に知らせる。また、それによって人々に決起を促したりする。
◆誤用が定着して「がんばれと励ます」「激励する文書を送る」という意味でも用いられる。文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」では、本来の意味である「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」で使う人が19.3パーセント、間違った意味「元気のない者に刺激を与えて活気づけること」で使う人が72.9パーセントという逆転した結果が出ている。

http://kotobank.jp/word/%E6%AA%84%E3%82%92%E9%A3%9B%E3%81%B0%E3%81%99
これも誤用の方で使ってるわ・・・。わたしは気持ちを“鼓舞する”とか“奮い立たせる”とか、そういう意味で使ってるなぁ。
だとすると、わたしの大好きな某ミュージカルの某黄色いチームの曲に「降臨する王者」という曲があるんだけど、

俺がいない間も守ってくれた 伝統・誇り
今感謝をこめて
再び檄を飛ばそう
これからは無敗
どこまでも無敗
プライド高き我らは
降臨する王者

この歌詞の中にある「再び檄を飛ばそう」ってのは、自分が病気で不在の間、部の伝統と誇りを守ってくれたチームメイトに感謝しつつも自分が戻ってきたからにはもう負けない、無敗で行くぜと『チームメイトに』言っているのではなく、むしろそれ以外、対戦校や観客や関係者や、自分たち以外の全てのやつらに『これからは無敗 どこまでも無敗 プライド高き我らは 降臨する王者である!』と宣言し同意を求めてる(認めさせてやる)ってことなのか。あれ?ちょっと意味合い違ってくるんだけど^^。


役不足

やく‐ぶそく 【役不足

1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。
2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。「そのポストでは―な(の)感がある」
文化庁が発表した平成18年度「国語に関する世論調査」では、「彼には役不足の仕事だ」を、本来の意味である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」で使う人が40.3パーセント、間違った意味「本人の力量に対して役目が重すぎること」で使う人が50.3パーセントと、逆転した結果が出ている。→力不足

http://kotobank.jp/word/%E5%BD%B9%E4%B8%8D%E8%B6%B3
これはよく誤用を指摘されるよね。「力不足」の意味を解ってれば「役不足」もおのずと解ると思うんだけどなぁ。


「話の「さわり」」

問1 「さわり」は,元々,邦楽に関係する言葉だそうですが,その意味を詳しく教えてください。
答 「さわり」は義太夫節の最大の聞かせどころ,聞きどころとされている箇所を指した言葉でした。それが転じて,音楽や物語の最も感動的な部分,話や文章の要点などという意味で使われています。

http://www.bunka.go.jp/publish/bunkachou_geppou/2011_07/series_08/series_08.html
コトバンクだと「さわり」しか載ってなかったんでこちらをペタリ。
これもどう誤用されがちなのかわかんないなー。あらすじと間違えられるとか?。


「おもむろに」

おもむろ‐に 【▽徐に】

[副]落ち着いて、ゆっくりと行動するさま。「―立ち上がる」「―口を開く」

http://kotobank.jp/word/%E5%BE%90%E3%81%AB
わたしこれも間違ってるぞ・・・。わたしは「急に」とか「突然」とか「予期せぬ」って意味で使ってるわ・・・・・・。でもよくよく考えてみたら「徐」←この字って徐行とか“ゆっくりと”って意味だよなぁ。あちゃちゃー。


「確信犯」

かくしんはん【確信犯】

自己の道徳的,政治的あるいは宗教的信念に基づいて,ある行為を義務と考えたことを決定的な動機とする犯罪,あるいは犯罪者をいう。ドイツの法哲学者・刑法学者G.ラートブルフが提唱した概念であるが,その理論的説明はさまざまである。一般には,確信犯は理想主義的な価値観に基づいて現実社会の変革を目ざす者である。その例としては,政治犯や近世ヨーロッパの宗教犯などがある。確信犯は,既存の社会,法秩序は道徳的,政治的あるいは宗教的な根本理念に反した不当なものと考え,既存の秩序の正当性を否認する。

http://kotobank.jp/word/%E7%A2%BA%E4%BF%A1%E7%8A%AF
これも誤用の代名詞的な言葉だよね。自分の行いが社会的とか倫理的に見て“正当であると確信し”犯罪行為を行うのが本来の意味だけど、“意図的に犯罪行為を行う”って意味で使ってしまってる。


「性癖」

せい‐へき 【性癖】

性質上のかたより。くせ。「大言壮語する―がある」
◆「性」を性質の意ではなく性交の意ととらえ、誤って、性的まじわりの際に現れるくせ・嗜好、交接時の習慣・習性の意で用いることがある。

http://kotobank.jp/word/%E6%80%A7%E7%99%96
あーこれも微妙だなぁ。本来の意味としても使うのよ。だけど性的嗜好、交接時の習性という意味でも使っちゃってるなぁ。


「奇特」

き‐どく 【奇特】

[名]神仏の持っている、超人間的な力。霊験。「宝物ぢゃと申しても―がなければ、我らごときの者の持っていらぬ物ぢゃが」〈虎清狂・鏡男〉

http://kotobank.jp/word/%E5%A5%87%E7%89%B9
ん?これ「きとく」じゃなくて「きどく」って読む・・・・・・・・・・・・の・・・??。
そして名詞なの・・・・・・?。
で、意味合いとしては尊敬とか畏敬という意味を含む「特別」ってことなのか?。わたしは悪い意味ではないんだけど、ちょっと人とは違うというニュアンスで「奇特な(変わった)人」って使い方をしてるわ。思いっきり間違ってるじゃないの・・・。


「浮き足立つ」

うきあしだつ【浮き足立つ・浮足立つ】

恐れや不安を感じて逃げ腰になる。落ち着きがなくなる。 「敵の攻撃に− ・ つ」 「解散の気配に議員たちは− ・ った」

http://kotobank.jp/word/%E6%B5%AE%E3%81%8D%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E3%81%A4%E3%83%BB%E6%B5%AE%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E3%81%A4
これは例えば「イケメンだらけで浮き足立つ」とか「パンツが見えて浮き足立つ」とか、同じ「落ち着かない」って意味合いでもその理由が恐れや不安とは反対の期待や興奮でって意味に取られるかもってことかなー。そういう感じで使ってるのを見かける気はする。



わたし結構間違って使ってんなー・・・・・・。まぁ↑ここに挙げられた言葉は日常生活でさほど頻繁に登場するようなものではないけれど、だからこそ間違いに気付けなかったりするんだよねぇ。間違った意味で取ってしまったとしても話の流れでその間違いはなかったことになってしまうというか、読み流せちゃったりもするし。
でもやっぱり言葉ってのは一つひとつに意味があって、書き手・話し手がそこでその言葉を使うことに意味があるんだと思うから、それをしっかり受け止めるためにも言葉はちゃんと覚えたいしちゃんと使わなきゃなーと思う。たとえこんなどーでもいい感想文でも!。