西尾 維新『悲鳴伝』

悲鳴伝 (講談社ノベルス)

悲鳴伝 (講談社ノベルス)

地球と戦うためのヒーローに抜擢された子(13歳の中学一年生男子)が劇中でテレビのヒーローものに対してこんなことを思うんですよ。
『どうして敵を生け捕りにしないのだろう――――だ。』
と。
『生け捕りにして、捕虜にして、敵の情報を聞き出し、本拠地を突き止めたり、敵の組織の規模を聞き出したりすれば、その後の戦いをかなり有利に進められるはずではないか。
こちらの戦力が圧倒的に少ない以上、それは絶対にすべきことだった。
――――間違っても必殺技を使用し、怪人を爆発させてしまうなんて、やってはならないことのはずだ。』
と。
おおーう!俺全くそんなふうに思ったことなかったぜ!!一度も!!(子供の頃+大きくなってから=ヒーロー愛好歴十数年)。
あと劇中で少女が少年に動物と人間は消化器系の構造が全く違うから犬に“チョコレートや鶏肉与えると即死んじゃうんだよ”と言うんだけど、うちわんこに毎日朝晩鶏肉(ささみ)あげてるよ・・・?。
・・・とまぁそんなこんなに驚いたりしましたが、いつものびっくり(能力)人間バトルでありながらもちょっとリアル、というかそこかしこに震災の影響が感じられて、というか私にはそう読めて、これまでとはちょっと違った感触でした。
ヒーロー云々は正直分かんないんだけど、地球というとてつもない『敵』に対して(この作品の中で)人間がやったことってのは結局人間同士の殺し合いでしかない・・・ってことだったり、そもそも救う必要もないってか、救いたいと思うなら救えばいいし(救おうとすればいいし)救われたいと思うなら救われればいいじゃん(救われようとすればいいじゃん)ってことなわけで、そんなことを思いながらのこのラストは超好み。在存ちゃんのアレをこう使ってくるかー!。
しっかし『女剣士』って異様に萌えるよな。