小路 幸也『コーヒー・ブルース』

Coffee blues

Coffee blues

庭に桜の樹があって黒くて大きなわんこがいて、わんこ目当てに近所の子供達が学校帰りに寄り道していく古い洋館を改装した喫茶店。そんな舞台でありながらも主人公が恋人を“自分のせいで”亡くしていて、それ以前にも学生時代の友人の彼女の死を経験しているなどという激重設定なのが読みながらずっと違和感・・・・・・とはちょっと違うんだけど、なにもこんな過去を背負わせなくていいだろうになぁ・・・と思い続けていたのですが(それが本筋に密接に関わる過去ではあるんだけど、でもそんなものを介入させずともこの物語を構成することは可能なんじゃないかなーと)、でも例えば別に舞台となる喫茶店が紅茶をメインに提供しジャズを流していたとしても本筋にはなんら影響はないんだけどそこをあえて「コーヒー」と「ブルース」としているってのはそうでなくてはならない、ということなんだろうなー。小路さんお得意のちょっとノスタルジックな下町物語でありながらもコーヒーやブルースからイメージするようなビターでダークな物語でした。
てか三栖さんと丹下さんがカッコよすぎて惚れる(笑)。