『ハングリー!』第6話

そこに意味があるのはわかるけど、当初は母親との約束があるから出した店ではあるものの今はもう英介自身の店であり夢になってるんだろうから『はらぺこキッチン』でも別にいいんじゃね?、店の雰囲気に合ってるし、むしろル・プティシュよりもそっちの方が客きそうじゃん?と思わせてしまうところがこのドラマのダメなところなんだろうなーと思った。だって塚本が言った“正直店の名前なんてどーでもいいけど”ってほんとその通りなんだもん。なんかとってつけたように“英介の為に今日は頑張るか”とも言ってたけどさ、英介一人が店の名前に拘り店の運営に奔走し、結局“英介の店”でしかないんだもん。店の名前なんてどうでもよくて当然だよな。それなのになーんとなく“みんなで英介を勝たせてやろうぜ!”ってな雰囲気になっててさぁ、それはつまり『英介のために』ってことなんだろうけど、でも長年一緒にバンドをやってきた仲だから気心は知れてるという設定以上のものは見せてもらえていないんでそういうことなんだろうなーと頭では理解できても気持ちとしては理解できないわけ。それどころか“女心が分かってない”以外英介という人間のことすらよく分からないから「どうでもいい」以外の感想を持ちようがないわけですよ。
そういう意味では吾郎さん麻生の方がよっぽど理解できる。ネグレクト云々ってのは安直というかひどい設定だなと思ったんだけど、まともな食事を与えてもらえなかった少年時代の麻生は華子さんがくれたおにぎりがべらぼうに美味しかったというだけでなくその中に愛情を感じたんだろうね。当然あの人の子供は毎日こんなにも愛情のこもった美味しいものを食べられるんだろうなと羨んだろうし、妬みもしたと思う。麻生はただ『華子さんの子供になりたい、自分が華子さんの子供だったらよかったのに』と思い続けて生きてきただけなんじゃないかな。それなのに当の息子はロックなんかに夢中になって華子さんに気苦労をかけてて、でも華子さんの愛情は変わらず受けてて。そして何よりも気に入らないのはそいつが“華子さんの才能”を、“華子さんの味”を受け継いでるってことなんだろう。で、しつこく勝負を挑んだ結果麻生は華子さんの味だという表現こそ使わなかったもののそこはちゃんと認めて、だけどやっぱり英介自身のことを認めることはまだできなくて、だから味以外のことで満足がいかなかったと言って『華子さんの店の看板』を取り上げた。・・・ってことなんだろうなと思うと、麻生の気持ちは理解できます。しかも英介自身が認めたように、麻生の指摘は全て的を射てるもので決して難癖なんかじゃないし、店の中ではあれだけ冷静だったのに店の外で膝ついて崩れ落ちちゃったとこなんてどんだけ堪えてたんだよ(笑)と人間味を感じたしさ、麻生の背景が分かったことでむしろ麻生を応援したいぐらいだよ。まぁ麻生が買収したのは華子さんの店の土地家屋であってル・プティシュではないわけだから、自分が勝ったら店の看板よこせってのは難癖ってかそもそもおかしな提案ではあるし、それ以前に麻生の主観で勝敗が決まるってのがおかしな話なんだけどさw。
で、全てその通りだと思った麻生の指摘を元に世界中に認めてもらえる“フレンチレストラン”にすべく突っ走る英介に対し、普通に生活が出来る程度に安定して働ければそれでいいし、ていうか気楽に楽しく食って飲んで騒げる店でいいじゃねーかという塚本(たち)がぶつかる・・・ってな展開になるんだろうけど、実際その通りじゃね??としか思えなさそうなんだよな。最終的には英介もそう思えるようになるにしても、ここまでのこの関係性でそこに至る流れがちゃんと描かれるとはちょっと思えないよなぁ。
つーか塚本はこれロックフェスティバルに絡んでなんか後ろ暗いことがありそうじゃん。本当は本選に出られるのにいい加減安定を求めたくなってた塚本がその知らせを握りつぶしたか、そもそも応募すらしてなかったか、そんなとこだと予想するし、息子の話も終わったのにまだ砂羽さんが店に出入りしてるのは多分そこいらへんの事情が明らかになり“自分たちはダメだったわけじゃない、まだ可能性があるかも!”と揺れるメンバー、特に拓あたりをたきつけるためなんだろうけど、いつまでロックがどうとか言ってんの?って話なのよね、ドラマ的に。英介以外のメンバーが今現在なにをどう考えているのか、彼らの本心が分からないからぶつかられてもこれまた「どうでもいい」としか思えないんじゃないかと。
そのくせ英介とまりあの複雑に揺れ動く恋愛感情(笑)とか千絵の切ない恋心(笑)なんかは詳細すぎるほどでさー。まりあと付き合うようになったキッカケとかここまでしっかりと見せる必要がどこにあんのかと。つーかネグレクトもそうだけどDVなんてものをこのドラマに入れるセンスが心底分からん。これはなに?「口が悪くて一見乱暴に見えるけど、絶対に女に暴力は奮わない英介」ってのを表現するための設定なの?。男の暴力を経験してるまりあを英介の優しさが癒したとかそういうことが言いたかったわけなんですか?。だったら「ロックやってる英介が好きだったのに」とか言う必要なくね?。ロックやってようがシェフやってようが英介の優しさは変わらないんだろうから。てか今頃社長令嬢ってな設定が明らかになったけど、結局30になったら自分の親の会社に入れればいいやーと思ってて、それまでは“ロックミュージシャン”という夢を追うやんちゃな彼氏でいて欲しかったってことなのね。なんだこの女。
そして本当に拓は別のバンドに誘われてるから“自分の代わりに”千絵にバイトを頼んだのかと思いきや、当たり前に二人揃って“バイトとして”店にいるってどういうこと。畑でのやりとりからして別のバンド〜ってのは実は嘘で、千絵を応援するためにバイトとして店に出入りさせようと考えたみたいだけど、だったら千絵が働いてるときは拓はエプロン外してカウンターにでも座ってなよと思うんだけど。バイト代がいくらなんだか知らんけど、二人同時に働かせるほど余裕あんのかよと。ちょっとずつ常連も増えてきて店が軌道に乗り始めたってな説明は確か劇中で為されたけど、従業員の給料作るために肉体労働するってので1話やったってのにこれはちょっとなぁ。てか大学行って稼業も手伝ってるのにこの上バイトとかできんのかよと。別にそういうところにリアリティを求めるドラマじゃないってことぐらいは分かってるんだけど、「むかいりを巡る三角関係」のためだけの展開だと思うと突っ込みたくなっちゃうのよ。
つーか「カッコイイむかいり」にばっか注力してて美味しいネタになるであろう「華子さんのレシピノート」や「はいりのパティシエ見習い設定」をこんなアッサリ、というよりも杜撰な描き方しかできない(しない)ってどういうことなのかと。恋愛パートとレストランパートの比重確実におかしいだろ。