牧野 修『大正二十九年の乙女たち』

牧野さん流の青春小説とのことですが、神々しさと禍々しさが混在するまさに少女から女に変わる時期の「少女」そのもののような物語でした。猟奇殺人が描かれているのに読後残るのはきれいな青空。物語の締めがとにかく秀逸。そして読みどころはやはり変態芸術描写。そこまで詳細な描写ではないのに圧倒的な存在感。読みやすいんだけどしっかりと牧野修エキスが注入されてます。
ただ物語の中で一服の清涼剤のような役割を果たす「くるみちゃん」の今後だけが気がかり。