遠藤 武文『デット・リミット』

デッド・リミット

デッド・リミット

冒頭で猟奇的な事件が起き、そこに登場する人物たちがそれぞれ更なる事件に関係していて、その後時間を遡る形でそれぞれの事情(事件)が明らかになっていくという構図で、発端はさしたることではない(と思われる)ことが最終的に国家規模の陰謀に・・・とオチはかなり盛った感がありましたが、バタフライエフェクトの亜流的な展開は面白かった。
でも、所謂ノワール調で描かれているのですがとってつけた感があるというか、特に冒頭の母親に対する周囲の人達の言動なんかは蛇足かなぁと。その時点ではそうとはまだ分からないもののかなりごちゃごちゃした相関図なんで、この場で必要な“母親が持っていた瓶を刑事が拾った”というただそれだけの描写に留め余計な要素はなるべく省いて展開そのものに集中できた方がずっと読みやすいと思うんだけどなぁ。
このオチの前ではそれぞれの視点のその後などどうでもいいという意図があるのかもしれませんが、豪快な放置っぷりも不満が残る。