昨日をもってマイ楽日を迎え、わたしにとってのワカドクロがついに終わってしまいました。現在マジ抜け殻。7年というスパンを保ちながら上演されてるこの作品で、今、今この瞬間の太一でこの蘭兵衛を見ることが出来たことはわたしにとって一生の宝物になると思う。あーもうオラオラ蘭兵衛さんもフラフラ蘭丸たんももう二度と生では拝めないんだと思うと本気で辛い。きっとこれから太一はもっともっと素敵になるでしょうが、でももう二度と“この”蘭兵衛を演じることはないと思うと心に穴どころじゃねえブラックホール出現しちゃったぐらいの喪失感だよもう。
大阪では1度しか見られなかったんで具体的比較はできませんが、方々で言及されてるように青山では殺陣のスピードが抑え目になってました。大阪では疾風怒濤の勢いで飛び込んできたかと思ったら目の前で何が起こってるのか一瞬理解できないほどとにかく『速い』って感じだったんだけど、青山では手数減らして一刀で深く確実に斬るようにしたように見えた。劇中で贋鉄斎が言うように数人斬ったら脂や血で刃が使い物にならなくなるわけで、そういう意味ではこの変更は舞台上での整合性という意味では正解かなと。まぁあの凄まじい、まるで風のごときスピードはほんと今の太一かつ新感線の舞台上でなければ拝めないものだったと思うんで、許されるならばあの勢いのまんまやって欲しかった気持ちはあるけど。
でも登場シーンこそ(大阪公演を見たがために)やや不満が残りましたが、笛剣の方は断然よくなった。手数減らした分台詞に感情を乗せる余地が増えたのかなぁ?言葉一つ動き一つに狂気と殺意と決意と絶望が感じられて、もんのすごい濃度になってた。特に大阪では笛を剣に組み立ててたように記憶してるのだけど青山では最初から両端に刃が付いててそのカバーを外すだけで即戦えるように変わってて、簡易になった分カバー外す瞬間蘭兵衛さんの中でメラっと殺意が立ち上るのが見えるのね。剣先を敵の鎧の隙間に押し込みグリグリ抉るのが恐ろしすぎ・・・。太一の剣って美しいけど痛みを感じないんだよね。肉を斬ってる感じがしない。スケールは全然違うんだけど紙で指を切った時の感じというか、薄くて浅い感じがするの。だけどこの笛剣シーンは確実に肉体を斬ってるんだという痛みがあった。
つーかさぁ、この場面で気付かなかったから多分大阪ではやってなかったと思うし青山でも最初の頃はやってなかったと思うんだけど、蘭兵衛さんが斬りやすいよう(動きやすいよう)笛剣握った右袖をぐいっとたくし上げるようになったのね。この時の蘭兵衛さんは全身白く美しいお衣装を纏い、月を背負って赤い笛を吹くお姿はまるで天女のようなのですが、オラオラスイッチ入るや否や捲った袖から結構逞しい腕がグイっとお目見えするもんだから毎回そのギャップにクラックラでございました。しかもそれで笛剣肩に担いだりするからね。なにこの美人チンピラ(笑)。
あと沙霧の正体バレした後無界屋の裏で捨と蘭兵衛が二人で喋るシーンで着物の裾を持ってちょっとインナーの紫をチラ見せさせてるのも青山からだと思う。大阪では太一のクセのまんま刀に手置いてたもん。これもまたあの時点では蘭丸ではなく遊廓の主である蘭兵衛さんなわけだからこっちで正解だよね。
そうそう、血糊と言えば、荒武者隊の黄平次をかなぁ?上手で斬り捨てた後袖で刀に付いた血を拭うんだよね。そこすごい凄惨な笑みを浮かべながらするもんだから残虐度MAXで、それがまた蘭丸さんの美しさをより醸し出すという壮絶なシーンになってました。その無界屋惨殺シーンでかつての仲間をくるっくるひらっひら回りながら躊躇なくぶった斬る蘭丸を見て天が嬉しそうに「楽しいか、蘭丸?」って聞くんだけど、それに対して「ああ、確かに・・・楽しい♪」ってもうほんと語尾に音符ついてる勢いで応えるんだよね、蘭丸さんってば・・・。もうキラッキラのお顔で。蘭丸こわい・・・。あとあとこの場面の蘭丸さんは天に誂えて貰ったと思しき肩にトゲトゲついてるかっこいい鎧調の黒いお召し物姿で頭きっちりポニテなのね(思わず土方さんを思い出したよね。そういやあれって去年の今頃だったよね。太一ってなんでこんなにポニテが似合うんだろうね)。で動いた拍子に毛先がフロントに来ちゃって顔にくっついちゃったりするじゃん?すると流し目かつ優雅な手つきで髪を払い、そのまんま枝毛の確認するかのように毛先をいじいじしてる時とかあって何してんのかと思ったよね。だってそこいらじゅうに死体ゴロゴロ転がってんだぜ!?。太一こわいよ・・・・・・。
でもそこへ狸穴さんと半蔵がやってくると相手の技量を即座に見抜いた蘭丸さんは刀ぐっと握りなおして腰を超低くして構えるのね。その構えがちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおカッコイイのね!!!!!!!!構えもカッコイイし眼光鋭く半蔵を見る目がハンっっっっっっっっっっっっっっっっパないのね!!!!!この瞬間のお写真欲しい。B4サイズなら1枚1500円払ってもいい。
そんでとりあえずこの場は一旦引くぞで天蘭シンクロターンね。美しカッコよすぎて毎度毎度その場で気を失いそうになりました。この瞬間の天蘭の向かうところ敵ナシ感は凄まじい。暗黒オーラ凄まじすぎてわけわかんねえ!。
でも全体的にオラオラ度は大阪の方が強かったかなぁ。ていうかはっきり言っちゃうと太一の演技は青山の中盤あたりまでは蘭兵衛時はオラオラ蘭丸時はフラフラの2パターンしかなかったんだよね(笑)。常にピリピリしたオーラ撒き散らしてる異様に沸点の低い蘭兵衛で、自らお出ましになった天魔王と捨之介が戦ってる最中それ以外の鉄機兵を一人で相手取り一人斬ったかと思ったら脇の下から剣を背中に向けて突き出し背後の敵を抑える蘭兵衛さんとかそれはそれはカッコよかったんだけどw、でも捨之介が「朴念仁のお前にしちゃあ、上出来だ!」と心から褒め称えるほどの街を作り上げた男には見えないわけですよ。戦闘能力は間違いないとしても人間としての余裕ゼロだもん(笑)。まぁ作ろうとして作ったわけじゃなく殿が死んでからの8年、蘭兵衛としての8年間は結局蘭丸にとってはかりそめの時間だったわけだから刹那的で当然っちゃ当然なんだろうけど、でも途中から斬ってない時、いわばオフ時の蘭兵衛は肩の力が抜けるようになってきて、それでもまぁ例えば金策とか実務的なことはムリやろ(笑)ってな蘭兵衛さんではあるんだけど(ソロバンとか絶対似合わないしねw)、オラオラ度こそ減ったものの無界屋の主として生きてきた時間が垣間見えるようになったなと。蘭兵衛の手をぎゅっと握りながら「怖い顔してるよ?」と心配する太夫(たち)に「だーいじょうぶ、お前たちを心配させるようなことはしやしねーよ」とふんわり笑って手を握り返してやる蘭兵衛さんとか卒倒しそうなほど柔らかだったし!。そう思えるようになったからこそ余計それらを捨て蘭丸に戻る決意をしてしまう蘭兵衛さんが哀れで愚かに思えるんだよねぇ。
だもんで一方のフラフラは加速。お耽美度ガン増し。
てか天蘭バトルが太一に引っ張られて未來ちゃんの殺陣レベルがあがり合間のやりとりは未來ちゃんに引っ張られて太一の台詞に情感がこもり、もうとんでもない域に達してます。研ぎ澄まされた刃の上で両足ズタボロになりながらギリギリのバランスで斬りあってる感じ。特に蘭兵衛が。大阪では蘭兵衛よりのやや互角って感じだったんで蘭兵衛の甚振られ度がイマイチ感じられなかったんだけど、終盤に入ってからの未來ちゃんはまた何かを会得したのか更に進化しやがりまして、蘭兵衛太一を圧倒する勢いなのね。ビジネスの話をしに来たといいつつ結局剣を握る蘭兵衛に「いい眼だ、蘭兵衛」とめったくそ嬉しそうに言い、斬り合いの中で久方ぶりに“生”を感じ、そして胸を開いて「はい、斬れ」と挑発する天魔王が心底憎ったらしいわけですよ。中盤までは蘭丸最強に思えたってのに天魔王には敵わない・・・のか?とすら思えてしまい、だからこれが殿のしゃれこうべで作ったマスクだ!とグイっと突き出された瞬間蘭兵衛さんの中でギリッギリ張り詰めてた糸がぶちんと切れた音が聞こえるようで、殿の顔(マスク)を目かっ開いて凝視しながら崩れ落ち、膝をついて天を仰ぐようにしながら「ああ・・・・・・っ」とあっちに行くしかない蘭兵衛の絶望にシンクロできてしまうんだよね。そんでもっての夢見酒ですから、蘭兵衛がそれを自ら飲むのも納得ですよ。
これ初見ではひたすら沸いて終わってしまったんですが、よくよく考えてみるとやや疑問を覚える展開なんだよね。殿と同じ顔の天に迫られた(笑)からこそ拒めなかったわけでさ、殿と同じ顔に「鉄砲なんかいらん。欲しいのはただ一人。お前だ」と背後から頭部を抱きかかえられ頬ずりで囁かれるからこそ抗えないわけでしょ。殿じゃないって分かっていても恋しさのあまり身体も心も求めてしまうからこそああまで必死で堪えるわけでしょ。でも顔全然違う設定やん?なのになんで受け入れるんよ蘭兵衛!?って後から考えたら思ったのね。だけど天に攻められまくったせいでこの時点で蘭兵衛はもう9割方殿への想いで支配されてしまってるんだよね。天とともに行くしかないと受け入れてしまってるんだろう。それでも残り1割の理性が必死で抵抗するんだけど、でも蘭兵衛には受け入れるしか道がない。その追い詰められ感がたまらない!愚かで脆くそして儚い蘭兵衛の最期の瞬間たまらない!!。
で、夢見酒口移しされ、グッと喉を押さえつつ立ち上がり一瞬動きをとめ完璧なラインで身体をしならせてからタラ〜ッと赤い雫を口の端から垂らす様はもう至極の一言ですわ。人差し指を立てた手で流れる赤い液体に沿わせるように顎から喉のラインを撫でるんだけど、ここの尋常じゃないエロスは今の太一でなければ絶対出せない。この哀れで愚かなエロスは今の太一だからこそなのよ。しかもそれはここで終わりませんからね。口移しされた液体をゴックンした後、今度は自分の意思で蘭丸へと戻るべくグラスを掴む時の悲壮な表情がもうもうもう最高っ!!なの。涙目かつ上目で天魔王を睨みつつ“お前に強要されたからじゃないんだからねっ!自分の意思で飲むんだからねっ!そこんとこ勘違いしないでよねっ!”ってな感じで残りの酒を煽る蘭丸たんの必死っぷりぱねえええええええええええええええええ!的なね(笑)。
冒頭で今の太一でこの蘭兵衛が見られてよかったと書きましたがそれは未來ちゃんあってのことで、太一蘭が“ハマった”最大の理由は未來ちゃんとの相性の良さだと思う。見た目のバランスがいいのもだし、演技の質ってか匂いが共に濡れた感じなんだよね。同じような質の場合ぶつかり合うこともあるけど、この二人・・・ってかこの天魔王とこの蘭丸の場合はそれがいい方向に作用してくれた。いい意味で自分に酔える二人だからお互い全力でその部分を出しあうことができた結果このぐっちょんぐっちょんに濃厚な天蘭になったんだろうなーと。ほんとうに奇跡の舞台ですよ。
そこへ沙霧が乱入してくるので天魔王の意識は蘭丸から逸れるんだけど、蘭丸たんは上手奥でもんのすごいフラッフラってかグラッグラしまくるのね。ここがまたヤバイ。夢見酒の作用がどの程度即効性のあるものかわかんないけど、多分最初に身体に入れる瞬間が一番キツイんじゃないかなー、この時の蘭丸は柱に凭れかかって立ってるのが精一杯って感じでブッ飛んでるわけですよ。これがもういろんな意味でヤバイ。周り一切見えてない感マジやばい。そんな蘭丸を案ずること一切なく当たり前に刀を与え沙霧を斬れとクールに命じる天魔王超ヤバイ。
で、そっからのフラフラ蘭丸さんは完全にイッちゃってて、刀を支えにして起き上がろうとするのとか本気で危なっかしくて怖いのなんのって・・・。前半はもうちょい正気保ってたってか正気と狂気を行ったり来たりで捨をチロって見やる瞬間なんかは頭の片隅では目の前の状況を理解してるのかなーと思えたんだけど、後半は一人別の時間を生きてるみたいになっちゃってますからね。もうひと目憚らず殿数珠いじりまくりでw、頬ずりなんて可愛いもんで時には眼を瞑って唇つけながらなにやらブツブツ対話してたからね。そんでもって柱に右手掛けて凭れかかって捨に100万ドルの流し目送りつつグラスを高く持ち上げクッと飲み干し、そのまま美しすぎる顎から喉を指先でツツ〜っと撫でまわすとかもうこれどうしたものかと・・・・・・・・・。
かと思ったら戻ってこいよ蘭兵衛!と縋る捨之介に超絶クールにフッと笑って「俺は正気だ」と言い、さらに首から提げた殿数珠を指先が白くなるほど強く握りしめながら「あの世に行く時でさえ、あの御方は一人先に行かれてしまった・・・」と涙声で、でもくっきりはっきり嘆き叫ぶわけですよ。天以上に過去(殿)に捕らわれてるのは蘭丸なんだよね・・・・・・・・・。可哀想で可哀想で可哀想で・・・この蘭丸にこんだけ愛される殿ってなんなんだよ一体!?って腹立たしく思えてしまうw。
で、そうして蘭丸の殿への想いをいやってほど見せられることで蘭丸最期の悲劇度がまた増しまくるわけですよ。天魔王は蘭丸が自分とともに生きてくれると思ってたんだと思うんだ。天も蘭に負けないぐらい殿ラブなわけでさ、殿と小姓二人でキャッキャしてた日々が恋しくてたまらないんだと思うんだ。だからその想いを共有できる蘭丸に固執するんだと思うの。もっと言っちゃえば天にとっては蘭しかいないんだと思うの。だけど蘭丸に天は必要ないんだよね。蘭丸の願いはただ『殿の元へいきたい』、それのみだから。殿という神によって繋がっている二人だけど、殿のいない世界の捉え方が決定的に違うんだよね。「貴様が何を企んでいるかは知らんが、俺は家康の首を取る!」とキッパリ宣言し「死に場所を与えてくれたことを感謝する」と蘭丸が告げた瞬間、本気でショックを受けそして怒りを覚えたっぽい天が「愚かな奴だ」と吐き捨てるのが痛くてさぁ・・・二人とも殿が好きなだけなのに、この先に起こることを思うと何故こんなことになっちゃうんだよー!ってほんと泣きたくなる。ていうか泣いちゃう><。殿ってばどこまで罪作りな御方なんだー!。
そして天魔王を庇い銃弾を浴びる蘭丸さんですよ・・・。つい蘭丸を支えちゃいながら「貴様何を・・・っ!?」と驚く天魔王の首根っこをグイっと掴み「ここで裏切ったら貴様や光秀と同じになるっ!」と力振り絞って強く言い聞かせるように言い、目を見開いた天を突き放す蘭丸さんですよ・・・・・・。蘭丸の気持ちはわかる。蘭丸が通した筋はわかるよ。だけど捨や太夫の気持ちを思うとバカーー!蘭兵衛のバカーーーーーッ!!ってなるよねぇ。前述の「怖い顔してるよ」「だーいじょうぶ」の場面が一番分かりやすかったけど、青山に入ってから太夫→蘭兵衛描写が一つ深くなったのね。だから絶叫しながら蘭丸を連打する太夫の遣る瀬無い想いとそんな太夫を必死で止める兵庫の切ない想いも相まってほんと痛かったなぁ・・・・・・。この時蘭丸は殿数珠を握ってんだよね・・・・・・。これで殿の元へ行けるって喜んでる・・・・・・・・んだよね、きっと。そんな蘭丸の手に剣を握らせ、反対の殿数珠握った蘭丸の手に自分の手をそっと重ねて搾り出すように「今度は迷わず進めよ・・・」と送り出す捨之介の気持ちがちゃんと蘭丸に届いてるといいな・・・。
でさあああああああ、本編はこんなにも情感こもりまくりでいろんな表情を見せてくれるのにさああああああああ、カテコは能面。髑髏仮面以上の仮面っぷりw。はけるときも客席にほぼ眼をむけずスタスタ歩いてさってくしw。だがしかしそこがイイ(笑)。というかそんな中でたまーーーに、ごくごくたまーーーーーーーーーにチラッと笑顔になってくれた瞬間もんのすごい幸せな気持ちになれる(笑)。隣に立つ小栗さんに話かけられた時とか、あとほんとたまーに「お前たまには手とか振れよ〜」的な感じで太一の手を取り無理矢理フリフリした時なんかに一瞬笑顔になることがあって、その瞬間マジでキャアアアアアアアアアアアアアアアア!(ハート1億個)ってなる(笑)。ドMにはタマラン物件ですわほんとw。
・・・って、蘭の感想どれだけ書いてるの・・・・・・(確認がてら読み直してリアルに呆然w)。ていうか後はもう書くことそんなないんだけど(笑)。
小栗捨之介は最終的にとてもよくなったと思います(←偉そう)。特に蘭丸を殿の元へ送りだしてからの上げっぷりが凄まじい。天魔王を追おうとする捨に贋鉄斎がさっき使っちゃったから斬鎧剣の準備がまだできてないと言うと「だったらさっさと研いでくれ!」と叫んでしまい、直後にハッと我に返って「先に行ってる・・・」と感情を押し殺しながら言うんだけど、ここの気迫がほんと凄まじいの一言。それまでは気のいい兄ちゃんだったのがまさに覚醒したって感じで目の色違うんだよね。今回の捨之介ってのはとにかく弱い男で、捨てたいもの捨てなきゃならないと思ってるものはいっぱいあるのにでも未練なのかなんなのか捨てることが出来なくて、その事実から眼を逸らしながら必死で地べた這いずり回ってる男だとわたしは受け取ったんだけど、この瞬間捨之介の目に自分が進むべき道が見えたんだと思う。そのために捨てねばならぬものをついにバーンと投げ捨てたんだと思う。それがハッキリと解った。
別に技量的な意味でのパワーアップじゃないんだよ。あくまでも捨之介の気持ちの話。だから百人斬りが颯爽としてなくったっていいんだよ。だけど気持ちだけで斬ってる。気持ちが捨之介を動かしてる。今回の百人斬りは兵庫の絶妙なアシストも含めミラクルな出来事なんだよ。多分二度とやれない奇跡なんだよ。そこに燃える。そして泣ける。(どうかクロスキャッチ×2が成功しますようにと両手握りつつw)祈るような気持ちで見守ってあげたくなっちゃうんだよね。スピードこそ相変わらずなものの確実に決めるとこ見せるとこがキッチリ際立つぐらいのメリハリついたし、成功すると思わずよしっ!!ってガッツポーズしたくなっちゃうぐらいには夢中になれましたw。うん。応援したくなる捨之介、なんだよね。従来の捨之介はとにかく圧倒的なヒーローで、云わば異次元ヒーローで、そんなヒーローの活躍を堪能するのがこれまでだとすると、今回は自分たちと同じ人間である捨之介がヒーローになる様を見守り応援する物語なのかなーってところに最終的に落ち着きました。そしたら俄然魅力的に思えた。もう明らかに気力体力共に限界突破してる状態で最終的に沙霧から渡された(これ途中まで贋鉄斎が渡してたけど沙霧が渡したほうがさらに捨の背中を押す形になっていいと思った)斬鎧剣をガシャコンと引っこ抜き、そして「お前を倒すためならどんな手段でも使ってやる」と言う捨之介には天への愛が感じられるの。殿の名を騙った男を成敗するんじゃなくて、“どんな手段を使っても”解放してやる、そんな風に見えるんだよね。そこにカタルシスはないんだけど、でも捨之介の優しさが感じられてグッとくる。
そうなの!小栗捨之介は『優しい』の!。その優しさは弱さであり強さなんだよ。だから最期は天の野望に捨の優しさが勝ったってことなんだとわたしは思う。そりゃ天にしてみりゃ「そんなのアリ?」だよな。でも「アリなんだよ」。アリだと思える。そう思えたから最後に「捨之介もすてのすけだー!」と晴れやかに言う捨がこの先どう生きるのかワクワクできて、大阪では蛇足としか思えなかったラストシーンが意味のあるものとなりました。この境地に辿り着くまで結構かかったけど(笑)。
未來ちゃん天魔王は初見からマイ楽まで全公演いつでも可愛憎たらしくて素敵でした。結構チマチマ遊んでるんだけどさ(笑)、根幹の部分は一切ぶれないよね。これはさすがの未來ちゃんだなと感心しきりでございます。ていうか赤マント姿たまらん。マントフェチ的にはまじたまらん。赤マント敦盛最強最凶すぎる。最初の頃はとにかくマントを広く大きく広げ回ることに意識向けてたっぽいけど、今じゃ更に「カッコよく」翻しながら殺陣するところまでいってるもん。俺の中でマントキングだった某ロミオ様を越えたわ(注:ロミジュリではないw)。
当初「小物」イメージだったんだけど、人間的にちっちぇーのは間違いないとして(笑)、なんていうか・・・・・・純真?なのかなぁって気がする。迷い悩み揺らぎまくりの捨蘭と比べ天にはそれらを全く感じない。欲しいものは欲しい、とにかく楽しいことがしたい、そういう人なのかなーと。そういう意味では殿に一番“似てる”のかも。もともとそういう人間だったのか、殿ラブすぎて真似っこしてるうちに中身まで殿っぽくなっちゃったのかは分かりませんが。一番殿っぽいなーと思うのが満月を眺めながら「綺麗な月だな。これだけ綺麗だと・・・汚したくならないか?」ってやつ。蘭丸に対する仕打ちも“綺麗なものを穢したい”って気持ちがあるんだろうなーと。
ていうか牢に入れた捨に「お前が天魔王になるんだ」と言い聞かせる場面でなぜか平泉成だったのは一体なんなの(笑)。そんで捨をげらげら笑いながらぶん殴りまくるんだけど直前が平泉成だからどうみてもマジ●チすぎる(笑)。そしてそれを止める粟根将監がかなり本気で止めに入ってるもんだから余計に(笑)。
てか将監と天ってどういう関係だったんだろうねぇ。初見感想で実は将監こそが天魔王を背後から動かしてたんだとばかり思ってたと書きましたが、捨之介に「天魔王は死んだ。俺が斬った」と言われての動揺っぷりって結構なもんだったわよねぇ。未來天が無邪気なキ●ガイなこともあって、あんな企み顔して将監さんってば天魔王のこと可愛いわ目が離せないわで大変だったんだろうなぁ・・・・・・なんて思ったところで、あれ?もしかして実は親子でしたなんて裏設定があったりして?とか思ったりw。信長が物心つく前の将監の息子を小姓として欲しいといい、将監は父の名乗りをあげることなく息子のそばに居続けた・・・ってことだとするとあの引っ立てられる将監の動揺っぷり超泣けるんですけど!。
てか聖子さん贋鉄斎と天魔王が会った時の「お前が贋鉄斎を気取るか」「あんたが天魔王を名乗るならね」ってやりとりがすっごい好きなんだけど、これって当然以前のお互いを知ってるからこその会話なわけで、その昔、まだ殿がいてその両脇に可愛い小姓の天蘭が控えてて、そこに将監と贋鉄斎夫婦もいたんだろうなーとか考えるとちょっと妄想世界が広がるわよね。
てかさー、もうさー、マジで殿どんだけいい男だったんだってな話なのよ。ていうか舞台上での捨天蘭が何歳ぐらいの設定なのか知りませんが、もし見た目通りの年齢・・・20代後半ぐらいの「若者」であるならば、8年前の捨天蘭は当然もっともっと若くて可愛くて美しかったと思われるわけで、そんな美少年たちを仕えさせそしてこれだけ自分を愛させるとか殿ド変態すぎんべ!!w。その様子が見たい!どっかで殿は祭先輩(つっつん)のイメージとか見かけて思わず心の中でひいいいいいやああああああああああああああああああああっん見たい見たいみたいいいいいいいいいいいいっ!!と絶叫しちゃったんだけどw、未來ちゃんと太一にお世話されてご満悦のつっつん、そこへ小栗さんが報告に来るとかそんなワンシーン想像するだけでぶっ倒れそうだわ・・・。
なんか最後の方完全に舞台感想じゃなくなってしまいましたが、ほんとうに素晴らしい時間を堪能させていただきました。
もうちょっと時間がたったらまたいろいろと思うことがでてきそうではありますが(影武者設定をなくしたことで派生したあれこれとか)、今はとにかく早乙女太一の蘭兵衛を見ることが出来て幸せでしたでいっぱいいっぱい。
しっかし未來ちゃんVS太一の本気の殺意と本気の色気溢れる天蘭戦を見てしまった今となっては今後そんじょそこいらの殺陣じゃ満足できない気がして心底怖いです・・・。二人とも罪な男よ・・・。