『仮面ライダーオーズ/OOO』第46話「映司グリードとWバースとアンクの欲望」

ずぶ濡れで殴り合いながらようやく辿り着いた自分の欲望を、本心をぶつけあう映司とアンクを眺めつつ、この二人はこの瞬間のためにこの1年間映司とアンクを演じ続けてきたんだろうなぁ・・・とか思ったら、なんかよくわからないものがこみあげてしまってちょっと焦った。
これまでオーズという作品を、火野映司の物語を、グリード・アンクの物語を見続けながら、ずっと映司が何考えてんだか分からなくて、アンクが何を求めているんだか分からなくて、だから共感もできなきゃ同情もできないし、かといって反論も異論も持ちようがなくて、でも理解したい気持ちはいっぱいあって、だから本当にもどかしい思いを抱え続けてきたのね。
でさぁ、これはわたしの想像でしかないのでそこは誤解しないようにお願いしたいのですが、渡部秀くんもりょんりょんもずっとそういう想いとともに演じ続けてたんじゃないかなーと思ったんだよね。残り3話でようやく明らかになった映司の『欲望』とは「手の届く範囲のみならず、どんなに遠くても届きそして守れる力が欲しい」ということであり、アンクの『欲望』とはずばり「生きているという実感=命」であると。そして映司はオーズになれることですでにそれを手に入れていて、アンクはクスクシエに今もちゃんと常備してあるアイスに象徴される数々の思い出によって命こそないものの“生きている実感”を得ていた(そしてだからこそより強く「命」を欲している)・・・ってことなわけだよね?。つまり結果的に言うとオーズってのは映司とアンクの自分探し物語だったわけだよね?。
で、おそらく演じてる当人たちにも映司でありアンクでありが何を求め、何のために戦っているのかってことは明確にはされてなかったんだろうなーと。映司が自分のことを全く分かってないんだもん、それを演じる渡部くんにそれが分かるはずがない。“道筋が分かっている上で迷う演技”を求められていたのではなく本当に迷ってる状態で演じてたんだろうなーと。で、ただ見てるだけのわたしですらもどかしくてイライラしたんだもん、渡部くん自身も苦しかったんじゃないかなーと思ったんだよね。いや、それだと微妙に表現が違うな・・・。演じてる中で渡部くんなりに映司が変わってきてる手応えは感じてたんじゃないかと思う。具体的にココやココってパッと指摘できないんだけど、映司が変わってきている、というか気付き始めてると言うべきなのかな、そういう変化を見せられるタイミングがいくつかあったと思うのに、今回のびしょぬれ殴り合いまでそれを見せてはこなかった。今回を見終わってみればそれはこの瞬間をより劇的に見せるためだったんだろうなと思えるけど、それでもここまで映司の心の変わりようを演じるような台詞であり場面をほとんど与えられなかったってのは気の毒だなぁ・・・とか思ったんだよね。それを受けるべきりょんりょんアンクにしても。なんつーか、常に寸止め状態で演じ続けてたんだろうなぁって。そんなことをあの二人の熱演を見ながら考えてしまいました。もっといっぱいこういう映司が見たかったなーなんてね。
あとまぁ・・・かなり河口付近ではあったけど川落ちしてから流され続けてあの岩場(海ですよね?)まで流れついたってのに顔も手足も綺麗なまんまってすごいな映司さん(笑)とか、水びたしになる予定ならそのサルエルパンツはやめてほしかったです衣装部(笑)とかも思ったけどw。


一方の後藤さんはバイクとオープンカーで並走しながらベルト空中で交換しそのまま変身とかカッコよすぎて全力ピギャりましたが、結局戻ってきた伊達さんに全部持ってかれちゃったと言うか・・・「伊達明リターン」の頼もしさたるやすごいしさ、例えそんなこと教えた覚えはないといいつつも結局後藤さん案を採用する結果になったとしても、それでもやっぱり二人並ぶと伊達さんが師匠で後藤さんが弟子に見えてしまう・・・。それは事実ってかその関係性に変わりはないんだろうけど、もっとこう・・・・・・伊達さんが戻ってきた暁には同じ立ち位置にいて欲しかったというかねぇ、これまでみたいに後藤さんに指示ってか意見を言おうとするものの後藤さんの戦いっぷりを見て黙って従う伊達さんとかさ、師弟関係ではなく相棒関係というか、そんな感じがバシっと見えたらよかったなーなんて思ってしまうわけですよ。まぁ相手が基本敵わないグリード、それも完全態じゃあ無理な話なんですが^^。
てか先に完全態になった二人と比べてガメル完全態は触れたものを瞬時にセルメダル化できるというまさに完全態ならではの能力を披露してくれたわけですが(ウヴァさんのあの地道な作業を思い出すと泣ける・・・w)、その“危険性”をWバースが認識してなかったっぽいのは見せ方として勿体無かったよなぁ。乗ってたバイクをセルメダルにされたという事実の意味を後藤さんならばちゃんと理解してたはずだから、だったら迂闊に近寄るとガメルに触れられメダルにされてしまう→だが放置しておけば人々がどんどんとメダル化されてしまう→こうなったらゼロ距離ブレストキャノンでとりあえず食い止めるしかない、自分がメダル化されようとも!→「バース1体じゃ多分あいつはとめられねぇ」「伊達さんっ!?」「だが2体ならやれる・・・かもしれない。どう思う?後藤ちゃん」「そうですね。2体同時ならば可能性はあります」 的な展開の方がガメル完全態のすごさも後藤さんの覚悟と成長も分かるし、なにより(真木が仕込んでいたとしても)『Wバースで完全態グリードを倒した』という展開の燃え度が高まると思うんだけどなぁ。確かに「・・・邪魔してすんませんでしたー」な伊達さんは相変わらずのアホっぷりでよかったんだけどさ、この期に及んで真木がらみでギャグ描写入れたわけだからこっちまでも笑わせようとしなくていいと思う。


あと2話。映司とアンクが己の欲望を自覚し受け入れる物語なんだってことは分かったけど、わたしはその先が見たかった・・・・・・と思う。自分の欲望を理解した上で、じゃあ映司はどうするのか、アンクはどうするのか(どうなるのか)ってのが見たかったなと。最後の最後でこれからの二人を予見させるようなものはあるかもだけど、アンクに「命」を与えられない以上、そして映司がグリードになってしまった以上、当然これまでと同じ時間は過ごせないよね。最終的に二人がどうするのかは最後まで見なきゃわからないとして、その結末は変わらないにしても自分の欲望を自覚した映司がオーズとして“自分のために”戦う姿が見たかったなぁと、例えその先にグリード化があるんだとしても。