福澤 徹三『東京難民』

東京難民

東京難民

自分の人生に何らビジョンを抱いてないごくごく普通の大学生が“難民”になるまでを描いた物語なのですが、とにかく腹立たしかった。ご丁寧に一段一段階段を転がり落ちていくんだけど、その都度主人公にはチャンスというか選択の余地が与えられ、そこで主人公はことごとく間違った選択をするわけですよ。“ここでそっちを選んでしまったら最も大切な何かを失くしてしまう”とかなんとか自分に言い聞かせながら。それはまぁ一言で言ってしまえば『誇り』ということになるのでしょうが、だからといってその誇りのためならばどんなことでも耐えられるというほどの覚悟があるわけでもなく、その中途半端さであり激甘さにイライラしっぱなし。でもそのイライラは所謂図星からくるイライラで・・・・・・ちょっとお金を手にするとすーぐ気が大きくなっちゃうとことかまさしく自分を見ているようで・・・・・・。
結局人間堕ちるところまで堕ちなければ性根を入れ替えることはできないということか、それともここまで堕ちるまでには数ステップあるはずだからそこで選択を誤らないようにしなければということか。あー生きるって大変。