京極 夏彦『オジいサン』

オジいサン

オジいサン

72歳、生涯独身の主人公が「オジいサン」と呼ばれた記憶(発音(笑))についてあーだこーだと記憶の紐を辿る物語から始まり、そんな感じで毎日頭の中で自問自答を繰り返しつつ時々は他人と交流しつつ生きてますというだけの話で、読みながら・・・イライラしました(笑)。純粋にオジいサンの自問自答がじれったくてもどかしくてイライラするってこともあるし、この“頭は覚醒してるのに身体の動きが追いつかない”ってのが恐らく今私の父親が突入した世界なんだろうなと思いさらにイライラして、そしていずれ自分もそうなるんだろうなぁ・・・と思うとイライラ最高潮というかね・・・。
なんて思ってたころでこのオチは上手い。上手いってかズルイ。人間って、究極のところはみんな一人だし孤独だとは思うけど、でも一人で生きてるわけじゃないしきっと誰か一人ぐらいは自分を大切に思ってくれている・・・かもしれないよね?・・・なーんて気持ちになってしまう。
これきっと京極さん発案だと思うのですが、ページの左下に時計の絵があってそれがちゃんと作中の経過時間に伴い変化してるのがパラパラ漫画を見てるようで面白い。とても可愛い本です。