沼田 まほかる『ユリゴコロ』

ユリゴコロ

ユリゴコロ

ユリゴコロ」とは作中のある人物が幼少時に大人が言った言葉を聞き間違えたものでこの物語の“鍵”となるものなのですが、人間誰しもそういうものが必要なのは分かるけど、でもこの場合は特殊すぎて・・・というかこれ野放しにしておくのってどうよ!?と、縁切りすればそれでいいってもんじゃないだろう!?と思ったところで最終的にはいい話っぽくなっちゃってるのに驚いた。消えれば(消せば)終わり、それが自分たちなりの決着をつけ方であり責任の取り方ということなのでしょうが、それでいいのか!?と作中の誰一人として疑問に思わないもんで読みながら置いてけぼりにされてる気分でした。この人の作品から漂う生理的な気持ちの悪さは嫌いではないのですが、それが“いい話”として結実してしまうと凄まじい違和感・・・。