誉田 哲也『感染遊戯』

感染遊戯

感染遊戯

姫川シリーズの名脇役ガンテツとノリこと葉山を軸にまず一見何の繋がりもないような事件がいくつか描かれ、実はその背景には共通するある人物の思惑があった・・・というミッシングリンクものではありますが、それを見つけるのが主題というわけではなく、その動機に迫る物語。事件を作る要素が「天下りしまくりの元官僚」や「ネット上で公開される個人情報」で、そこに現実を思い起こさせる「非加熱製剤による感染問題」や「年金問題」「ダム問題」を絡めてグイグイ読ませる力はさすがだし、今このご時勢に読むとそれこそ原発を作った所謂“お偉いさん”も自然と重なるもんでかなり面白かったです。
それになんといっても実は秘かにお気に入りだったノリ目線の物語なのでウハウハです(笑)。姫川とガンテツに取り合いされる葉山にウハウハです(笑)。姫川シリーズ嫌いじゃないけど好きでもない理由はやはり「姫川玲子」という女が鼻持ちならないからなんだなと改めて確認。