桜庭 一樹『伏 贋作・里見八犬伝』

伏 贋作・里見八犬伝

伏 贋作・里見八犬伝

古典を元にした独自解釈というか新解釈?それとも二次創作と言ってしまっていいものなのか・・・?
とにかく「里見八犬伝」を元に桜庭さんが新たに紡ぎ上げた物語ですが、面白かった。相当面白かったです。
最大の改変ポイントは八犬士を「伏」という存在として描いたことなのですが、里見八犬伝はざっくりとしたあらすじと信乃さん・毛野・荘助・道節・親兵衛あたりは背景やら設定込みでわかるけどそれ以外は名前を覚えてる程度でどんな人だっけ・・・?レベルでさしたる思い入れがあるわけじゃないからこそかもしれませんが、『狩るものと狩られるもの』の物語として素直に楽しめました。
作中作として挿入される馬琴の不貞の息子の戯作者が調べたことをまとめた“贋作・里見八犬伝”が物語の始まりである「因」、そして信乃さんが小娘でありながら凄腕猟師の浜路に語ることで「果」として物語が終わるという構成はドラマティックで美しく、そして凄惨。でも全体から受ける印象は爽快。相当人は死ぬし伏という存在に救いもなけりゃ終わりもないんで決して爽やかな物語ではないのですが、でもやっぱり「からっと」してて、それはこの時代の人々の気風・・・なのかなぁなんて思ったりしました。


これアニメ映画化するらしいのですが、信乃さんの声が緑川さんで毛野がよっちんでやってくれたら全力で漏らします。