『仮面ライダーオーズ/OOO』第21話「バッタと親子と正義の味方」

「正義のためなら、人はどこまでも残酷になれるんだ」かぁ。えっらく難しい『欲望』を持ってきたな。「お腹いっぱい食べたい」とか「お金が欲しい」とか「有名になりたい」とか、あと「好きな人の結婚式を壊したい」とかね、そういうものと「世の中を正したい」「悪を罰したい」という思いを『欲望』として並列に描くって、そうとう冒険ってか挑戦・・・よね。それもライダー(ヒーロー番組)で。「正義」を掲げて「武力」を振るいあう戦争という行為がなくならない以上、大人ですら自分とは立ち位置(考え方)が異なる人に対する言葉を見つけるのは難問なわけでさ、そこを子供番組でありヒーロー番組としてどう落とすのか、脚本が小林さんだったらこれまでの作品のクセなんかからある程度の予想はつくけど、今回は本編ではほぼまっさらの脚本家なこともあるし、これはかなり楽しみだわ。
それに、まだ前編を終えたところではありますが、これまで同様たまたまそういう欲望を抱いている人間をグリードが見つけてどうのこうのだけでなく、いや、見つけたこと自体はいつも通りのたまたまだったけど、そこにレギュラーキャラである後藤さんがしっかり絡んでる、ゲストの話でありながら実は後藤さんの話である・・・ってことになりそうなのも楽しみ材料だよなー。どうにもこうにもノレない理由の一つにゲストの話をこなす中でレギュラーキャラの物語(作品の縦軸)が進んでるようには見えないってことがあると思うのね。レギュラーキャラってかずばり言っちゃうと『映司の物語』がほとんど見えてこないから入り込めないんだと思うのです。わたしは、ですが。でも最初からヒーローとしてある程度完成されている映司に対して未熟全開!現在自分探しの真っ最中の後藤さんの物語はコツコツと積み上げられてきてはいるんで、「正義のために戦える力を手に入れたい」と願う心も『欲望』であると認定されたこのエピソードの中で後藤さんの中の何がどう変わるのか、20話以上やってきてる中で今回が一番「次回が楽しみ!」です。基本虫頭のくせにウヴァさんマジでいいところに眼をつけてくれてありがとう!w。
つーか「人を助けたい気持ちや正義を守りたい」という正義感が欲望になるだなんて「そんな馬鹿ヤツがいるのか・・・?」とかなんとか言い合うアンクと映司が揃って「・・・・・・・・(馬鹿が)いた・・・」と後藤さんに思い至る流れが秀逸すぎたんだけどw、そっか・・・あれだけ何度も正義オタであることを宣言してたってのにアンクどころか映司にすらちゃんと認識されてなかったのか・・・。後藤さんの発言って一体・・・・・・。
そんな後藤さんを象徴するのが冒頭の親子と出会うキッカケのシーンですよ。悪い大人に臆することなく注意をしたものの反撃されてる子供を見つけて颯爽と駆けつける後藤さんでしたが、遅れて駆けつけた映司が見事な手腕であっという間にその場を収めてみせちゃったもんだから真っ先に駆けつけた立場まるでナッシンとかねw。その後再会した子供に「さっきのおじちゃん」とか言われてたけど、恐らく映司に対しては「助けてくれたお兄ちゃん」と言うのではないかと思うの・・・w。後藤さん・・・・・・いろいろ頑張れw。ていうかむしろ父子に近い立場(考え方)であるはずの後藤さんなのに一生懸命言葉を選んで子供に対して正しいことだとしてもさっきみたいなことは“危ないから”するべきではないと諭してましたが、そこは“大人であろうがなんだろうが「悪いことを注意する」のは正しいと思う。言い方ってか注意の仕方を考える必要はあるけれど。でもそこで足を蹴るという「暴力」を振るっちゃダメだよね。暴力を使った時点でそれは「正義」ではなくなる”ってことを教えてあげるべきだったのではないだろうか。・・・と思ったんだけど、それを言ったらおもきし力でもって悪(怪人)を倒してるライダーはどうなんよ?って話になっちゃうよねぇ・・・。
で、↑で「戦争」という言葉を使いましたが、そういう「正義を掲げる暴力」に直に接したことがあり、そのせいで大切なものを失った(守れなかった)のが映司なんだよね。だけど映司は相手がヤミーという怪物であるとは言え、力を使ってそれをこの世から排除してる。じゃあ映司にとってオーズの力とはなんなのか。映司には伊達さんや後藤さんのような「明確な欲望」がないわけで、お金のためでも正義のためでもない映司ならば力を使って悪を排除してもいいのか?結果としてやってることが同じであってもそこに「欲望」がなければ映司の行動は正当化されるのか?ってな話になるよなー。まぁさすがにそこまで突っ込んで描くのはあと1話(30分)じゃ無理だろうし、それをスポット参戦の脚本家にやらせるのもどうかと思うし、というよりも映司がオーズとして戦うことの「目的」を見つけることがこのドラマのゴールなのでは・・・?という気すらしてきているので、今回の話は後藤くんだけでなく映司にとってもターニングポイント回になる・・・かも?。
今んとこはポイ捨てとかひったくりとか強引なナンパとか禁止行為を平気でするやつとか人の迷惑顧みないやつとか、“100%悪いやつ”に対して力を振るってるだけの父親だけど、自分が得た力に溺れてどんどんと増長し、正義のための力が過剰暴力、まさに欲望を開放するための「暴力」になっていくってな展開になるのだとして、それは確実に止めなければならないことなわけで、でもそれを止めるためには当然オーズの「力」を使う・・・わけだよな。考えれば考えるほどすごい欲望を持ってきたなと思わざるを得ません。とりあえず“内戦体験者”という設定を持つ映司がどんな言葉でヤミーの宿主父子を説得するのかってのは今後を占う上でも注目ですな。


それにしても、バッタヤミーのダークヒーローっぷりがカッコよすぎるw。「トゥッ!」って言いながらジャンプしたりアクションはキレッキレだし、むしろオーズよりもカッコイイんですけどwww。これ父親の中にある「正義の味方像」によるものなのかなぁ。だとしたら父親は間違いなく特撮好きだと思うわけで、ますます父親の気持ちもわからんでもないな・・・という気になってしまうw。
あとはじめての夜間戦闘?だったと思うんだけど、変身とともに発光するバースのフェイスもカッコよくてテンション上がったわー!。でもなんか伊達さんが手動でライトのオンオフしてたっぽいのでw、もしもこの先後藤さんがバースの装着者になったらそういう“カッコつけ”はやってくれないかも。・・・いや、むしろノリノリでやる・・・か?(笑)。
てか後藤さんはモデルさんのはずなのに、イマイチ衣装(私服)の着こなしがかっこよくないなぁ。まぁ後藤さんはオサレにはてんで興味がない真正正義厨だろうからあんなもんってか、わざとあんまりイケてないように着こなしてるのかもだけど。
ていうか相変わらず後藤さんの「鍛錬法」は基本ランニング(ジョギングレベルにしか見えないw)のようですが、ランニングは持久力強化にはなるだろうけど目指すは銃の反動に堪えられる肉体なわけだからもっとこう・・・筋力をアップするためのトレーニングをしたほうがいいのではないでしょうか・・・と素人が余計なことを言ってみる。腹筋する後藤さんとか背筋する後藤さんとか胸筋鍛えるマシンで歯を食いしばる後藤さんとかが見たいだなんて、いっ言ってないよ?。思うように筋力がつかなくて頭からシャワー浴びつつ「・・・クソッ」と壁を叩く後藤さんが見たいだなんて言ってないんだからねっ!。