朱川 湊人『オルゴォル』

オルゴォル

オルゴォル

やや特殊な家庭環境で暮らす少年が、軽い気持ちで引き受けた約束を果たすため東京から九州まで旅をする物語です。
ざっくりと言うと旅の過程で人と出会い冒険をし、旅が終わる頃には一つ大人になっている・・・という定番中の定番な物語なのですが、少年が見聞きし感じたり考えたりする素材が漠然としたものではなく実際に“今現在そこにあるもの”であり、日本人にとってはとても大切なものなので、ジュブナイルのつもりで読むとガツンと頭を殴られます。
でも少年の目的地に着いてからはいい意味でファンタジー展開。そして朱川さんらしい“不可思議”要素も織り込まれるので読後感は軽く、なかなかの充実度でした。