初野 晴『退出ゲーム』『初恋ソムリエ』『空想オルガン』

退出ゲーム

退出ゲーム

初恋ソムリエ

初恋ソムリエ

空想オルガン

空想オルガン

会話を読ませる(楽しませる)のって結構難しいのではないか、それが高校生となれば作家の実年齢との開きもあって更にハードルが上がるのではないかと思うのですが、このシリーズはその点かなり健闘してます。奇妙なライバル関係にあるハルタとチカちゃんを中心にして、弱小吹奏楽部が自分たちの力で力ある仲間をゲットしていくお話なのですが、どいつもこいつも個性といえば聞こえはいいけど相当おかしな高校生たちなんでそりゃあリアルな会話とはいきませんが、そのヘンテコな会話が奇妙な味わいになってる。この手の設定だとノスタルジックな作品になりがちだけど、そのおかげで(おかげといっていいのか?)甘酸っぱい感じは皆無です(笑)。でもチカちゃんが言葉としても心の叫び(地の文)でもよく使う「いやっ」ってのはどうかと思う(笑)。
その会話がちゃんとその話の主題(謎だったり秘密だったり)と関係してるんでただのくだらない会話(褒めてます)で終わらないのはもちろん、一人ひとり加わった吹奏楽部メンバーがその後も物語にしっかりと関わるのもいいし、各話で登場する他部の人達も時折顔を出すので彩りがあるんですよね。物語の中でちゃんと生きてるって感じがする。
そしてシリーズ通して「普門館を目指す」という明確な軸があって、こっちがまたイイんだ。わたしも草壁先生争奪戦に参戦したいですっ!!。