『Mother』第8話

うーん・・・・・・・・・今回の話ってどう受け止めればいいのだろうか。
結果というか、展開だけを見るならば、仁美に怜南の事故に関して何らかの疑いがかけられていて、その疑いを晴らすために仁美が怜南の生存=誘拐をバラすための条件というかキッカケのようなものが必要で、それが娘から母へ向けての直接の訣別宣言、「ママのことを好きでもなければ嫌いでもない」という言葉・・・ということになるのだろうけど、そこがどうもすんなり理解できない。
最初から子供を疎ましく思っていたわけではなく、早くに旦那と別れ女手一つで“父親がいる家庭と同程度の生活水準を維持するために”必死で頑張り、娘への愛情もしっかりと持っていた。でも室蘭という閉鎖的な町で父親のいない子供を育てることは難しく、仁美は徐々に追い詰められ余裕をなくし荒んでいったと。それは怖いほどよく分かりました。旦那が死んでなかったら、助けてくれる克子さん?が引っ越さなければ、近所の保育所に空きがあれば、たくさんの“もし○○だったなら”のうちの一つでも違っていればもうこんなことにはなっていなかったかもしれない。「みんな怜南はいい子ねって褒めてくれるけど、ママのことは誰も褒めてくれない」という仁美の呟きは、子供を産まずに自由気ままにフラッフラ遊んで暮らしているわたしではありますが、共感・・・じゃないかな、同情?できたもん。
そこまでは分かるんだけどさ、そこから先はどういうことなの?1週間近く娘を置いて男と旅行に行き「お母さん楽しい?」と聞かれて泣いたのはなんなの?罪悪感で苦しんでいるとでも言うんですか?。たとえそうだとしても、それでもあなたが娘をゴミ袋に入れて寒空の下放置した事実は変わらないし、言い訳できないよね?ちっちゃな娘を「落とす」なんてことを平気でする男を選んだってことですよね?と思ったまさにそのタイミングで奈緒がそのことを指摘した。そして、それに続けて「それでもゆっくりと時間をかけて母娘関係を作り直すつもりならば娘さんはお返しします」と言ったことに対し、「娘に好きじゃないって言われた。だから私にとっては娘は死んだも同然」と答えたと。これが分からない。仁美は結局何がしたかったん?着の身着のままどころかコンビニの制服姿で上京したぐらいだから普通の状態じゃないんだろうけど、本当に怜南を連れて帰ることを望んでいたのですか?と思う。
これだけ同情的な目線で仁美という一人の母親が虐待をするまでになった経緯を描いたってのに、この発言は大切なのは娘そのものではなく娘に愛される自分、ってことでしょう?。自分を好きだと言ってくれない娘は必要ないって風に聞こえるよね?。ていうかそう考えたら、回想の中で仁美の夫は死んだように描かれていてわたしも途中まではそのつもりで見てたんだけど、仁美が見かけた幸せそうな家族の父親が死んだ夫そっくりだったってやつ、あれもしかしてそっくりさんじゃなくて本当に元夫だったりするわけ?と思えてきたんだけど・・・。可愛いのは娘ではなく自分であるならば、それまで見ていた“元は頑張り屋さんのいい母親だった仁美”ってのもそのまんま受け取れないよなぁと。もしかして仁美って相当ヤバイ人ってことなのかな・・・。
まぁ過去映像を材料に想像を逞しくするならば、仁美自身が両親を早くになくしているかなんかで愛情を満足に受けられずに育ってしまったせいで、過剰に愛情を求める人なのかなーなんて思うんだけどね。離婚の理由もそこにあるのかもしれないし、怜南をきちんと躾られなかった(食べ物を食べたくないと言って床に叩き落した時にビシっと叱れなかった)のも娘に嫌われたくなかったからなのかなーとかね。
とまぁ今回は仁美という人間についていろいろ考えさせられたものの、結論はやっぱこの女わかんねーや、でした。
多分今回の怜南の「好きでも嫌いでもない」発言で、仁美の中にあったのかもしれない“母性”は消えたと思うんで、これからは“怜南の幸せ”は一切考えずただ自分にかけられた何らかの容疑を晴らすために全力で『娘は誘拐された』と言いまくるんだろうなー。くっそー、うっかりさんの黒い人脈でこの女どうにかできないもんかしら(笑)。


この母親の元で暮らしていたらいつか死んでしまうと思ってつぐみを連れて逃げたのだろうに、やり直すつもりなら娘さんをお返ししますとか言い出した奈緒にはハァ!?あんた何言っちゃってんの!?と思ってしまいましたが、この発言は母親ではなく娘の立場での発言だったのかなぁ。うっかりさんと過ごしている中で、どんな親であってもやっぱり母親は母親だって気持ちが芽生えてきたとか。そう考えたら去っていく仁美の背中に向けての「私が母になります」宣言は、これまで何度もつぐみに、そして自分に言い聞かせてきた「私があなたのお母さんよ」とはまた違う、本当の決意、仁美と戦うというまさに宣戦布告に聞こえました。
それにしても、公園で仁美に対して奈緒が語ったセリフはやけにポエムっぽくて浮きまくってたわー。研究者なこともあるし堅苦しい言い回しをするのは奈緒らしいと思うけど、詩的な言い回しをするってのは奈緒というキャラクターにはそぐわないと思うんだけど。