『龍馬伝』第21回「故郷の友」

朝餉を挟んで向かい合い、外でヤイヤイ言う騒音をガン無視してこれからのことを“ほんの少し早口で”語る武市さんと、そんな武市さんの言葉をうっすら笑みを浮かべて穏やかに聞いてる冨さん夫婦を見て、ああ・・・終わったなぁ・・・・・・って気持ちになりました。この素晴らしい夫婦のシーンが龍馬伝という作品の武市半平太としての最高到達点というか、このシーンの武市さんを描くためにこれまでの武市さんがあったんだなーと、龍馬伝を見続けてきて始めて心穏やかな気持ちになれました。ボロ泣きしながら(笑)。
まーね、大殿様に嫌われてると自覚して以降の武市さんは一体どれだけの人に自分は間違っていたんだと頭を下げるのだろうか?とは思うし、そうは言うけど武市さんは本当に自分が間違っていたって思ってるんですか?自分がやろうと思ったこと、やってきたこと、それらを間違っていたと思っているのですか?と思うけど。確かに上の気持ちを読み間違い下のノリを理解しきれなかったのはミスだけどさ、武市さんの『信念』そのものは間違ってないよね?。わたしはそう思います。武市さんもそう思ってると思う。でもこうなった以上、自分(達)のしてきたことは間違っていたのだと世の中(大殿様)が言うならば、それに黙って従おう決めたのだと思う。自分が全て背負おうと決めたのだと思う。だからこうやってみんなに頭を下げて謝る武市さんをみるのは辛いし苦しいんだけど、でもそれが武市さんなんですよね。泣いて縋りたい気持ちはあるだろうにそれを堪えて気丈に振舞う冨さんに対し、今にも泣き出してしまいそうなウルウル目ながらも笑顔を浮かべる優しくて脆い武市さんがやっぱり好きなのよ。
弥太郎と武市さんのシーンもよかったなぁ。弥太郎がまた最後の最後まで武市さんをズバッと射抜き、その言葉をしっかりと受け止めた上でこれが俺だと言い切る武市さん。二人が初めて本当の意味で向き合ったって感じがした。
でさ、ついスルーしそうになったけど今回の話ってのはこれまで自意識過剰の上から目線で“商売とはなんたるや”ということが全く分かってなかった弥太郎がついに材木を自分の才覚でもって初めて売った話でもあったわけで、つまりそれは三菱の始まりってことなわけですよね?。人気キャラである弥太郎のターニングポイントを武市さんの最高点を同じ回で描いたことを凄いと見るべきかそれとも馬鹿だと見るべきか、どっちなんだろ。なんとなく二人の未来の明暗というか、かたや死へのカウントダウンが始まりかたや栄光への道が開けたと対照として描いたのかなーなんて思いはしたんだけど。
それに今回は登場時間体感にして1分足らずってなもんだったってのに新選組の登場演出がカッコよすぎてどうにかなりそうでした。喋らせなかったのは大正解。無言で以蔵を追い込む様が、なんていうか・・・死神みたいだった。土方さんとかなんだあれ!!!!!!!!楽人沖田なんてポニーテール(っつーか髷w)だけでイケるんですけど!!!!!!泰造ですらカッコよく見えるとか隊服に鎖帷子の威力どんだけだっつのw。
立場が真逆だし、そもそも比較するようなものじゃないってか比較するほうが馬鹿だってのは分かってるつもりですが、一瞬でもこれだけの“本気”というか、プロの匂いを放つ新選組と比べると、やっぱり勤王党って甘かったんだろうなぁ・・・なんて思ってしまいました。


ていうか福山とトータスと鉄矢が同じフレームに入った時も思いましたが、画面にライダーが三人(一人は厳密にはライダーじゃないけど)映った瞬間やっぱり今年の大河はおかしい(笑)と思います。


龍馬はお願いだから黙ってて。武市さんのことも以蔵のことも心配してくれなくていいからあなたはあなたのやるべきことをやってください。