『Mother』第3話

うっかりさんこと葉菜さんの自宅と奈緒たちが泊まってるホテルが徒歩圏内(だよな?)だってことに若干引っかかりを覚えたものの、奈緒の話を無表情なんだけどでも全身が切り刻まれているかのごとき空気を纏いながら黙って聞き続けるうっかりさんのシーンで吹き飛びました。時間にして何分語ってた!?。その後の水道ジャージャー流しながら必死で嗚咽を堪える母親の姿まで、このシーンはもうテレビドラマの範疇を確実に超えてた。自分の誕生日も母親の顔も何にも覚えてないという奈緒なのに、まるで昨日のことのように鮮やかかつ理路整然と語られる奈緒の話を聞いていて、きっと頭の中で最後の日のことを何千回も反芻し後悔し続けてきたんだろうなぁとか思うとなんとも言えない気持ちになるし、安易に「気持ち分かる」とか言えないな・・・って思った。それに、わたしはこれまで事情がどうあれ子供を捨てた母親に同情する余地はないと思ってたんだけど、つぐみのアレルギー既往を心配して注射を打たず薬も必要最低限のもの(身体への影響が少ないものってことだよね)だけにしてきたと言う葉菜さんの様子を見たら、その気持ちがちょっと揺らぎそうになりました。葉菜さんがなぜ奈緒を捨てたのか?ってのはどこかの時点で明かされる真実として一つの山場になると思うんでその瞬間を待つだけなんだけど、つぐみが電話して以降の手際の良さは、やっぱりかつて母親であった人・・・だなぁとか思って、もう一度言うけどだからと言って同情することはないんだけど、うーん・・・複雑な気持ちです。なんの気なしに目にした行方不明になってる北海道の少女・怜南とつぐみを即結びつけることが出来たのも、“母親のカン”ってやつなのかなぁ・・・。鉛筆の文字が漢字だったならばともかく「レナ」って今じゃそう珍しくない名前だと思うし、行方不明の子供を自分の捨てた娘が連れまわしてるだなんて、それこそ思考が拒絶するんじゃないかと思うのね。でもきっと葉菜さんにはそれが『なんとなく分かった』んだと思う。
そうそう、結びつけるといえばさ、三女の果歩とその彼氏は北海道で駿輔と一時行動を共にしてたし、仁美の自宅を張ったりしてたってことはあの時事件について少なからず話をしたと思うんだけど、その時ニュースなんかで怜南の顔写真見なかったのかなぁ?。ドラマの密度が濃いせいか、二人が逃亡生活に入ってからもう結構な日数が経ってる気がしてしまうのですが、実際にはまだ3.4日ぐらいしか経ってないんだよね?。だったら姉が連れてる子が怜南と確定まではせずとも「似たような子をどこかで見たような・・・」ぐらい考えてもよさそうなもんだと思うんだけどなぁ。でも駿輔は今頃仁美から写真を借りてたし、果歩は北海道では怜南の顔を見ていないってことなんだろうな。

今回は奈緒とつぐみの距離感がぐっと縮まってるのがあちらこちらに見えて、それ自体にはホッとさせられたんだけど、保険証やら母子手帳やら、それに就学のこともあるし、この先問題というか障害というか・・・そういうものが山積みなんだってことも見えてきて、そういやわたしこれまでそこいらへんのこと全く考えてなかったことに気づいてかなり驚いてしまいました。基本粗探し体質というか・・・文句つけたい人なんで本来であれば母親になるって決めたのはいいけど保険証とか戸籍とかそのへんのことちゃんと考えてんのかよ?って思うはずなのに。それだけこれまでの展開であったりキャストの演技そのものであったりに引き付けられてたんだろうなぁ。過去を語る松雪さんとそれを聞く田中さんもすごかったけど、葉菜さんの店から奈緒が出てきたのを偶然目撃しちゃった藤子さんもすごかったなぁ。てか10年近く会ってないとか言うし、鈴原家が奈緒を語る口調からも、あんまり上手くいってないのかなぁと思ってたんですが、藤子さんは会社のロビーで抱きしめちゃったり理由は聞かずに(きっと聞いてないよね)百万単位のお金を貸してあげたり、次女の芽衣とも「老けた?」「太った?」とか言い合ったりとかさ、ベタベタじゃなくてサバサバした、でもちゃんと家族として愛情を抱きあってるんだなってのが伝わってきて、なんかすごく安心したなぁ。産みの母親に対する態度からして育ての母親が血の繋がってない娘を大切にしてるってのは分かってたけど、奈緒は鈴原家に貰われて以降、いい意味で“普通に”愛情を与えられて育ったんだなーって。でも10年も会わずにいたのは奈緒自身なんだろうし、うっかりさんに語った“あの日の記憶”がある限り、奈緒はその愛情を素直に受け入れることはできないのだろう。そういや髪を梳かしてもらうたびに「すいません」って謝ってたって言ってたもんなぁ。お互いに相手を哀しませたり苦しませたりするつもりなんてないだろうに、そういうのって、辛いんだろうな。そういう時間を過ごした末、今のあの距離感に辿りついたということか。
それなのに。次回はいよいよヤマコーさん駿輔が鈴原家を訪ね怜南の姿を目撃してしまう・・・のか!?。ヤマコーさんを拝むのも一つのお目当てなのですが、でも今回ばかりは出番なくてもいいです・・・せめてもうちょっと出てこなくて結構ですから・・・って気分w。