『龍馬伝』第17回「怪物、容堂」

わたしにはどうもよく分からなかったんだけど、お佐那様と龍馬のいわゆる“関係”って、どういうものだったんですか?。史実云々ではなくこのドラマの中における二人の関係という意味ですが。重太郎さんの場合、最初は自分の器量をわかったうえで道場をさらに大きくするためには坂本くんの力が必要だと、つまり龍馬を頭にして自分はその右腕となるべくってのが目的だったんだけど、妹がどうやら本気で坂本くんを好きらしいと気づいてからはシスコンフルスロットル発動で、今となっては道場<妹の幸せ でいっぱいなんだろうなーと思うし、お佐那様はもちろん龍馬と夫婦になるべく何年間も「待ち続けてた」わけですよね。そしてようやく戻ってきた龍馬とついに夫婦になれると思ってたわけですよね。で、紋付袴を仕立ててあげたり脱藩浪人という立場である龍馬を藩の重鎮に紹介してあげたりするには当然当主である定吉さんの許可がいると思うわけでさ、定吉さんが龍馬に対して(重太郎さんを使って)そこまで至れり尽くせりしてあげた理由はやっぱり『娘の結婚相手』になるであろう男だから、だと思うのよ。そこまでは分かるのね。で、結果こういうことになってしまったということは、龍馬はお佐那様と何ら明確な『約束』はしておらず、つまるところは千葉家の皆さんが『勝手に盛り上がってた』『龍馬は佐那を貰ってくれると勝手に思い込んでた』ということなわけですか・・・?。だとしたらもう・・・千葉家乙としか言えないんだけどさ、でも龍馬は絶対千葉道場の皆さんがそう思ってること気づいてただろうし、お佐那様の気持ちにも間違いなく気づいてるわけじゃん。それなのにそこいらへんには“あえて”触れずに逃げ回り自分の要求だけ受け入れさせて、勝先生の弟子になれたしもう千葉道場にしてもらうことはありませんとばかりに捨てたってことでしょ。お佐那様や重太郎さんの想いを利用するだけ利用した挙句最後だけはカッコよく決めてみましたー!ってことでしょ。わたしにはそう見えた。それなのに泣き言恨み言一つ言わず龍馬と「剣士として」竹刀を合わせた、いや違うな、剣に自分の想いを乗せて龍馬に打ち込んだお佐那様とそんな娘・妹を見守る父・兄がとても凛々しかったんで、この人たちにこんな顔をさせてる龍馬がほんっとに腹立たしかったです。あーもう最低。毎回毎回龍馬にムカつきすぎて血管切れそう。
でも今回一番ムカついたのは武市さんでした。以蔵に初めて人斬りをさせた時あなたはなんて言いましたか?と。あなたは「友達だ」と言いませんでしたか?と。仲間に「人斬り」と呼ばれ蔑まれながらも、心がボロボロになりながらも、以蔵が人を斬り続ける理由は「武市さんに必要とされ続けるため」であり「武市さんの友達であり続けたいから」だと思うのに、その行為に「褒美ぜよ」と言いながら「賃金」を渡した。それも以蔵の目を見ることもなく。これは酷い。いくらなんでも酷すぎです武市さん。そしていっちばんキイイイイイイイイッ!ってなったのが、いつまで人斬りを続ければいいのか?という以蔵の言葉に『意外』って表情を浮かべたことでした。前回長次郎に武市さんが「町人“風情”なんて言うとは」って軽蔑されてたのにはうるせーこのもじゃもじゃ!としか思わなかったんだけどw、邪魔者を排除するために利用している以蔵の気持ちすら考えられない、以蔵に最低限のフォローをすることすら気が回らないほど“増長”しちゃってんだなぁってなー。ナンバーツーである収二郎とお茶片手に緩い時間をすごす武市さんや富さん一筋の武市さんは以前と変わらず尊敬できる人であり素敵な旦那様なのに(富さんへの手紙を読む武市さんの声が素敵すぎて思わず「ホゥ」とウットリ溜息を漏らしてしまいました。やっぱいいわー、南朋さんの声)(でも自分の顔が描かれた扇子貰っても「さすがにこれはちょっと・・・引くわ」と思ってしまいましたがw)(そして素敵な旦那様でいいなーと全力で富さんを羨む乙女姉やん、気持ち分かるぞ!!w)、どうして以蔵にだけそんなに冷たくするんですかっ!?馬鹿だから!?以蔵が馬鹿だからなのかっ!?。
そんな以蔵が同衾するオナゴに向かって「お前は馬鹿だから」と馬鹿呼ばわりしてることに思わずニヤニヤしつつもちょーーーーと待って!以蔵にいつのまにか彼女が出来てて(そういう女が登場することを知っていながら)、い、いつの間にっ!?!?しかももう一緒に寝てるし!!!!!!!!!?と驚いてしまったわけですが、マジでわたし1回見逃したのかと思ったわ・・・。だって今日「も」泊めてくれとか言ってたし、以蔵たんってばほんといつの間に・・・・・・。まさに「道具扱い」で以蔵の気持ちなんて全く斟酌する気がない武市さんに対し、なつは攘夷のことなんかは分からない馬鹿な小娘なのかもしれないけどでも「そういうことのためには『そういうこと』をする人が必要」と頭ではなく心で分かってあげられる子だってのが、対照的だなぁと思いました。あと何気に図太いよね。悪い夢みて飛び起きた彼氏の姿にびっくりして言ってることにまでちゃんと理解が及ばなかったのかもだけど、「斬りたくて斬ってるんじゃない」っておもきし人殺してます宣言してるってのに怯える素振りゼロだったもんな。二人がどういうキッカケで知り合ったのかは分からないけど、なんとなくこうなるべくしてなった、というか、これから以蔵は武市さんではなくなつの言葉に救われ、そして縋るようになるんだろうなぁ。あーあ。それもこれも武市さんがちゃんと以蔵に『餌』をあげないからです。
あ、以蔵の“人斬りっぷり”はだいぶ様になってきたと思う。殺陣を含めた体捌きはまだちょっとドタバタして見えるけど、目の奥で冷たい光がギラッと光るのがとてもいい。内心どれだけ葛藤を抱えていたとしても、やるときはキッチリ人斬りする「プロの目」だってのが伝わってくる。いいなー、以蔵はブレなくて・・・。


武市さんって、前回今回あたりが所謂『絶頂期』ですよね。自分としては幕府に直接モノ申せる立場になりたいとかまだまだ野望は尽きないようですが、武市半平太という男の人生における頂点が今なんですよね。でもさほどそういう感じはしない・・・よなぁ。酒かっくらって女抱きまくってヒャッハーー!するわけじゃないから見た目としての「絶頂」が伝わってこないってのは多少あるとしても、それでもなんか・・・いい表現が見つからないんだけど、なんか悲愴感が漂ってる風に見えるなぁと。本来ならば口を利けるような人ではない人達とガンガン対峙しお願いという名の要求を呑ませてる(呑ませようとする)あたりまさしくイケイケなんだろうけど、プライベートタイムが地味なせいかそういうノリに乗ってる男のオーラみたいなものは感じられない気がします。だから容堂ほどの人が武市さんを叩き潰そうとしてるってのが・・・ちょっと・・・勘弁してやってくれませんか?という気持ちになってしまうのです。でも確かに土佐=お殿様のことだけを考え行動してると言われても、吉田東洋殺したくせに何言ってんのお前?ってなもんだしさw、そもそも容堂にとっちゃ武市さんなんざ『犬猫同然』なわけでさ、思いっきりスタートラインから噛み合ってないんだもんね・・・。それなのに心底本気で「お殿様の為」に働いてると思ってる武市さん・・・武市さんこそが馬鹿じゃないか・・・・・・。


でも一番馬鹿なのは、弥太郎の抱えた材木を引き取ってあげる権平さんだと思いました(笑)。ていうか人良すぎ(笑)。