『蝦蟇倉市事件1』

複数の作家が一つの都市を物語によって作り出すという企画・・・ということでいいのでしょうか。共通項というかテーマは『不可能犯罪が多い街』。巻頭に町の地図があって、それと見比べながら読むのとか楽しいし、各作家のクセというかカラーというかそういうものは当然一致してはいないんだけど、それがこの蝦蟇倉市の不思議さ=魅力に繋がってると思いました。
オープニングを飾る道尾さんの作品はこの人にこの犯行が果たして可能なのだろうか?ということは別として、一番“硬派”でした。あとがきに書かれてることが私にはサッパリ分からなかったんだけどこれどういうことだろう?。
伊坂さんのキャラ及び雰囲気作りの上手さはさすが。私がイメージする「蝦蟇倉市」の空気感を最も感じたのは伊坂さんの作品でした。
大山さんは所謂「本格」で真っ向勝負といった感じでまさに「不可能犯罪」を扱った作品でしたが、そこまでは推理の範囲ではない(というか聞くに聞けない)ものの、過去の事件の動機が放置されてることが気になりました。
福田栄一さんは初めて呼んだ作家さんでした。以前からお名前は目にしていたものの、福井晴敏さん同様なんかオッサン臭い名前・・・と思い(ほんと失礼ですよね、すいません・・・)なんとなく敬遠しておりました。が、とても面白くてガッツポーズです。姉弟日常の謎的な事件を解決するために奔走する物語なのですが、コメディ調でテンポがいい文章は読みやすく、姉ちゃんの捜査能力さすがに都合よすぎじゃない?と思ったあたりで明かされる驚愕の真実(笑)にはニヤリとさせられました。他の作品に登場した人物がカメオ出演したのもよかったです。
伯方雪日さんはとてもいいバカミス(笑)。


続き(蝦蟇倉殺人事件2)が楽しみです!。