日本のあちらこちらでこの物語と同じようなことが行われていて同じような人間がゴロゴロしてるんだよなってのが圧倒的リアリティとして感じられるあたり、日本ってもう終わってるよなぁ・・・とか思いながら読みました。日本(地方)の終末感はイヤというほど描かれているので、一例を挙げると「酒」とか「靴」とかなんの捻りもない看板を掲げた店が道路の両脇にずらーっと並んでるような街という表現なんかはありありと実感できてしまったし。どうしようもない閉塞感と場末感でいっぱい、どう考えてもお先真っ暗な5つの物語(視点)をどう着地させるのか楽しみでしたが、オチは・・・・・・・・・さすがに強引ってか回収しきれなかったなーという印象です。そこは奥田さんなのでそれぞれの行動自体は無理のない展開なのですが、全てがそこに集約するってのは偶然にしてもちょっとなぁ・・・と。それと、誰一人として共感できる人物がいなかったのもイマイチな理由かな。位置付けとしては「最悪」や「邪魔」と並べられるようですが、その2作品と比べると明らかに吸引力が落ちると思った。どちらも共感というとちょっと違う気がするのですが、気持ちは分かるというか・・・物語の中に入り込めたのですが、今作は最初から最後まで「無理」という作品世界を外側から見ていたという感じがしました。
視点となる一人の人物が傾倒する
新興宗教の描写はちょっと面白かったです。この話はもっと広げてほしいなぁ。