『JIN−仁−』第5話

毎週毎週言ってるけどさ、MISIAが流れた瞬間本気でもう終わりっ!?って愕然としてしまいました。今わたしが1週間168時間の中で最も早く感じる1時間、それが日曜21時〜22時です。
つーか今回の引きの上手さは異常だろ。ペニシリン抽出のシーンは出来るだろうと思いながらも全力でハラハラドキドキさせてもらえたけど、今回の肝は長年苦しんだ夕霧姐さんが最期は穏やかにそして美しく死んでいくことが出来たということ、夕霧姐さんにそういう最期を迎えてもらうために手を尽くし続けた野風さんとの絆と、武家のお嬢様である咲ちゃんの女ならではの心づくし、ついでに言うとペニシリンの抽出法を考えた未来の力もあった・・・ということだと思うわけで、これまでの4話を男臭い激動の物語だと言うならば、今回はしっとりしとした、美しくも哀しい女の物語だったと言えると思うのね。ペニシリンをこの時代にもたらすというものすごい展開はあったものの手術シーンはなかったし龍馬の出番も少なかったし、全体のトーンとしてはこれまでと比べて緩やかなものだったと思う。そこへもってきてその直後の嵌められた佐分利!?からのあの予告はまさにジェットコースターばりの怒涛の展開すぎて、もういいように翻弄されまくりって感じ。静と動のバランスが絶妙すぎる。1話1話だけでなく、ドラマ全編通しての流れをしっかり考えてあるってことだと思う。
未来のあのペニシリン抽出法は全て江戸時代で入手可能なものを使っていたけど(もしかしたら仁先生が頭使っていくつか別のもので代用してるのかもしれないけど)、未来のレポートでは当然そんなことは想定してないと思うのでもっと現代の技術やら材料やらを使ったものだったと思うんだよね。恐らく知識さえあればあの方法で抽出は可能なのでしょうが、現代の人間である仁先生が医者として必要とされる知識ではなく雑談の延長線でしかないペニシリン抽出法をああも的確に記憶し、材料やらなにやらの準備を含め即座に着手することができたってのは少々都合よすぎかなーとは思いました。でも未来との出会いのキッカケになったものだし恐らく内容も相当面白い(興味深い)ものだったから記憶してたんだろうなと思うし、思い出すキッカケこそ必要だったもののそこからはするすると記憶が甦ったこともそれを的確に指示できることも仁先生の優秀さを表してるとも思うし、そのキッカケを与えたのは咲ちゃんだし、そしてちょっと小耳に挟んだ「出来るわけないよなー」って言葉を聞いたからと言ってレポート書き上げ「出来ないって言葉が嫌いなんです」と言ってのけた未来という女性の個性であり魅力でありを見せることで、なるほど、これは仁先生が惚れただけの女であるなと思ったし、例え多少無理があると思う展開(設定)だとしてもそこにちゃんと意味づけをしてくれるから、このドラマでは多少のご都合展開が気にならないんだよね。あ、さすがに医学生が昼から学食でランチビールってのはどうよ?未来さん男前すぎやろ!ってのは思ったけどねw。
キャスティングの上手さにも毎回舌を巻いてるわけですが、高岡早紀さんの夕霧もまた素晴らしかったわ。的確な表現が見つからなくてもどかしいんだけど、中谷さんが硬質の美だとしたら、高岡さんは軟質の美だと思うのね。野風の魅力がうかつに手を出せないような凛々しさだとしたら、夕霧は温かく包み込んでくれる柔らかさ、みたいな感じ。夕霧の後釜に座った野風が文句の一つも言ってくれと言っていたように、花魁(に限らずそもそも女という性)同士の間には美しからぬ想いが渦巻いてて当然だと思うのに、夕霧姐さんは野風に恨み言一つ言わないし、野風もまた夕霧さんを慕い続けた。二人の間にこんなにも深い絆があった理由の一つは二人が対照的な女性だったからなんじゃないかなと思ったんだよね。それってなんか分かるなと思ったの。あの野風さんがこうまで夕霧姐さんを救おうと必死になったのは憧れももちろんあるだろうけど自分にはない魅力の持ち主である夕霧さんを心から尊敬し認めていたからなんだろうなぁって。回想シーンはあったものの高岡さんは基本ずっと床に伏せってただけなのに、野風さんと張り合う色気を感じたもんなぁ。「おさらばえ・・・」「あい、・・・・・・おさらばえ」は二人の間の空気が濃密すぎて、苦しいぐらいだったもの。誰にも入り込めない空間だった。
咲ちゃんも良かったよねぇ。毎回いいんだけどさ、仁先生のために必死で青かび探しする姿は健気すぎるし、武家のお嬢様でありながら吉原の女である夕霧さんにお化粧をしてあげようと思いつき自ら実行したのには格やら職業やらそんなことで人を区別する子じゃないんだってのが見えて、より一層咲ちゃんのことが好きになりました。咲ちゃんの心中はハンパなく穏やかじゃないと思うのよね。恋心を抱いている仁先生は未来からきたとかわけわかんないこと言ってるしw、その仁先生には想い人がいることを薄々感じていて、恐らくその想い人であろう女性とそっくりの花魁が目の前に現われた上に、医学を志すものとして仁先生から教えられる知識も蓄えなくちゃならない(蓄えたい)ってんで、もう頭パンクしそうだと思うの。で、咲ちゃんはそれ一つ一つに対して一生懸命に向き合おうとしてると思うんだよね。自分なりに必死で理解しようと頑張ってると思う。そういうところが可愛くてたまりません。
でさあ、妹がこんなにも頑張ってるってのにお兄ちゃんはというと・・・・・・遊女に一目惚れかよと!!(笑)。初音がなにやら不穏な目つきで恭太郎さんを見てたので二人の間になんらかの因縁があるのかと思いきや、近視なので目つきが悪いんですーには思わずズコーっ!てなったけどw(きっと脳に腫瘍が出来てるとかなんらかの原因でもって視力に影響が出てるんだろうけど)、仁先生に想い人云々の話を持ち出したのは妹の気持ちに気づいたお兄ちゃんとしての発言かと思ったのにオノレの恋愛相談だったなんてガッカリだよ!(笑)。
父上とそっくりの殿方が現れたら好きになるか?と娘に聞かれ、そそそそそそそそんなわけないじゃないっ!と焦って照れる栄様は今回も最高でございました。
そして、着物の裾まくって太もも丸出しで疾走する仁先生はすこぶるエロく、後輩に話しかけられ告白かよーまいったなーってニヤニヤする昭和なたかおは凶悪なまでに可愛かったですw。